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vol.24 インド雑貨「カオス」のピョンピョンさんが、50代で見つけた自分らしい生き方とは 【私と誰かにちょっといいこと】

大阪・淡路にあるインド雑貨のお店「カオス」。52歳で訪れたインドをきっかけに、人生が180度変わったというオーナーのピョンピョン惠さんですが、もともとインドには全く興味がなかったそうです。

サラリーマンからインド雑貨オーナーに転身するまでの歩みと、今後、お店を通じて届けたい思いを伺いました。

「このままでは人生を後悔する」と感じたことが転機に

――もともと、インドがお好きだったのでしょうか。

いえ、全然。インドに関心すらありませんでした。

――そんなピョンピョンさんが、インド雑貨のお店を運営するようになったきっかけを教えてください。

大きなきっかけは、2011年の東日本大震災でした。当時、大阪のビルで仕事をしていたときに、揺れを感じました。

もう死ぬかもしれない、と感じたとき、「この職場で、この仕事をしながら人生を終えるのは嫌だ」「このままでは後悔する」と、強く思ったんです。

それまでも、「私の人生、何か使命があるのではないか。このままではいけないんじゃないか」と思うことはありました。勤めている会社では安定的にお給料をいただけて、贅沢をしなければこれから先も暮らしていける。でも、何かが違う、と感じていました。
本を読んだり、映画を見たり、旅をしたり、あちこち出かけて答えを探しましたが、これといったヒントも見つからないまま、なんとなく人生を過ごしていたんです。

震災の揺れを感じたことをきっかけに、もっと真剣に、自分の人生を考えるようになりました。

外に探していた「答え」は自分の中にあった

――その後、「瞑想」と出会われたそうですね。どのようなきっかけで瞑想を始められたのですか。

あるとき、阪神タイガースの選手が『オフの時間にはお寺で座禅をしている』とテレビで話しているのを見て、「これだ!私も座禅をやってみよう」と思ったんです。

そんなとき、近所に新しくオープンしたインド雑貨店でチラシを受け取りました。そこには、瞑想会のお知らせが載っていたんです。インド雑貨には興味がなかったのですが、座禅に興味を持ち始めていた私は、「瞑想」という言葉に惹かれました。

若いころからヨガをしていて、レッスンの最後に仰向けで休むポーズをとるのですが、それがとっても気持ちいいことも思い出しました。
――瞑想を経験してから変化はありましたか?

瞑想って宗教的なものだと思われがちなんですが、そうではなくて、自己と向き合うことなんですね。「外側に答えを探し回って見つからなかったのなら、内側にあるのでは」と考え始めて瞑想を続けているうちに、少しずつ気づき始めたんです。

私は感情表現が苦手な人間だったのですが、自分の感情を書き出してみると、怒りもあるし、泣きたい気持ちもあるんだということが分かりました。

常に押し殺してきた自分の感情や、周囲の目、親や社会から言われ続けてきたこと。「こうしなければいけない」と思い込み、自分にいろいろなことを強いてきたのだなと気づいてからは、少しずつ感情を外に出し、いらないものを手放していくことで、気持ちが軽くなっていきました。
インド雑貨 カオス

インドに導いてくれたのは周囲の人の言葉

――インドには全く関心がないということでしたが、瞑想との出会いからインド行きを決心したいきさつを教えてください。

瞑想会に参加していた方の中に、インド雑貨屋さんをしている人がいたんです。その人が『インドツアーするから、一緒に行かない?』と誘ってくれたのですが、インドに全く興味がない私は『いえ、行きません』と即答しました(笑)。

インドどころか、海外旅行自体に興味がありませんでした。旅に出るといえば、各駅停車の電車に乗って国内をめぐる、というタイプだったんです。
――その状況から、インドへ行くことになったのですよね。

そこから半年ぐらいの間に、少しずつインドへの道が開いていった感じです。3週間のツアーですから、お金も時間も必要です。仕事も辞めるぐらいのつもりで考えなければいけないと感じていました。

仕事に関しては、すべてを投げ出して辞めたい気持ちはありました。
でもずっとそうできずにいたんです。

瞑想仲間からは、『やったことのないことに挑戦してみたら?』とか、『とりあえず、パスポートだけ取ってみたら?』などと言われたこともあって、「手続きだけ進めてみようかな」という心境に至りました。

インド行きの日まで数か月しかなかったので、実は「準備を進めても、どうせ間に合わないだろう」とたかをくくっていたんです。パスポートは持っていないし、ビザの申請もこれからという段階でしたから。

もし、パスポートもビザも準備ができて、すべてがうまくいったら、
そのときはインドに行くしかないと、自分を追い詰めたんですね。
――とりあえず、行動してみようと思われたのですね。

当時は仕事が忙しくて、残業の毎日でした。「休んだらみんなに迷惑がかかる」と思っていたのですが、パスポートを取るために、どうしても休まなければならなくて。

恐る恐る、上司に休暇の相談をしてみたところ、あっさり『いいよ』と言われたんです。

当たり前のことなのですが、「あ、休みって取れるんだ」とわかりました(笑)。
「仕事は休んではいけない」「休みは取れない」と思い込んでいたのですね。ここでも思い込みがひとつ、解放されました。

パスポートを取るには、本籍のある実家の方まで行く必要がありました。遠くて大変だし、役所の手続きには時間がかかるだろうから、絶対間に合わないだろうと思っていたのですが、間に合ってしまったんです(笑)。

それで、インドに行くことになりました。
ピョンピョン恵さん
――インド行きを決心したとき、周りの人の反応はどうでしたか?

瞑想仲間には『インドに渋々行くなんて』と笑われました。

実は仕事の仲間にも、インド行きを勧めてくれた人がいたんです。『インド行きに誘われているんだけどね…‥』と打ち明けたとき、「嫌なら、行かなくていいんじゃない?」と言われることを期待していたのですが、なんとその人が机をたたいて、『インドに行ってください!行くべきです!仕事なんかどうでもいいじゃないですか。お金もなんとかなるはずです』と言ったんです。

そんなことを言う人ではないと思っていたので、すごく驚きました。
この人がここまで言うのなら、前向きに考えてみようと思い直したんです。私には、そのひと押しが一番大きかったですね。

そうしてひとつずつ準備を進めているうちに、気づけばインドのデリーに降り立っていました。そのとき、私は52歳でした。
――背中を押してくれた人も、喜ばれたでしょうね。

帰国後、『背中を押してくれてありがとう』とお礼を伝えたところ、『インドに行くべきだなんて、私、ひとことも言ってませんよ』なんて言うんです!
何回聞いても、全く身に覚えがないということで、不思議なことが起こったのかもと思いました。

インドという別世界に触れて、自分を見つめ直した

――初めてのインドで、印象に残ったことを教えてください。

インドの方たちの自信の強さ、「生きる力」です。
「神様がついてるから大丈夫」と、何かを信じている強い力を感じました。

あと、時間の感覚も全然違いましたね。日本だと電車が3分遅れてもお詫びのアナウンスがありますが、インドでは電車が12時間遅れても、誰も文句を言わないんです。ホームに寝袋を出して寝始める方もいらっしゃって。

駅員さんに詰め寄っているのは、私たち日本人だけでした。「なんだ、この世界は」と思いましたが、実際、電車がそれだけ遅れても、後の予定はなんとかなったんです。

インドの人々はとても明るくて、親切で、いい意味で馴れ馴れしい程(笑)。人との距離も近かったです。私たちが写真を撮っていると、どんどん写り込んできて、「友達同士なのかな」と思いきや、みんな知らない人同士ということが判明(笑)。明るくて、パワフルで、日本では感じたことのない感覚でした。
インドの様子
――全く違う文化や人々にふれて、ご自身の見方も変わりましたか?

「私は、なんて小さい世界で、チマチマと生きてきたんだろう」と感じ、自分自身を心から見つめ直す旅になりました。

自分と向き合うことは、辛くて厳しいことでもあります。でも、私には必要な経験でした。

会社員時代にはなかった「働く喜び」

――帰国後、暮らしや気持ちにどんな変化がありましたか?

ある日、インド雑貨店「カオス」のオーナーが家業に入ることになり、私に「お店を継がないか」と声をかけてくれて。私は2つ返事で「やります」と答えました。そこから、私は会社員ではなく、インド雑貨店のオーナーになったんです。

会社員をしているときは、真っ黒な服を着て、ビジネス街を歩いていましたが、今ではインドのカラフルな服を着て、仕事に向かう人たちとは反対の方向に歩くようになったんです。スーツに身を包んだ人たちを見て、まるで過去の自分を見ているようで、不思議な感じでした。

以前は足かせをつけられているように感じながら、ストレスいっぱいで働いていたのに、その真逆の状態になったんです。

最後まで、仕事を辞めると言うのが一番勇気が要りました。が、結果一番、簡単でした。
『インド』のただ一言だけで、想定外の円満退職になりました。

会社員を辞めた今、将来の約束や安定はありませんが、「きっとうまくいく」という、
なんだか知らないけど、根拠のない「自信」があって、我ながらすっかりインドナイズされた自分がいます(笑)
ピョンピョン恵さん
――今は仕入れでインドへ行くこともあるそうですね。お店の品物への思いを教えてください。

ガネーシャの像などを現地で買い付けています。どれも商品ではあるのですが、かわいい子どもみたいな感覚ですね。「この子はね……」と紹介し、気に入ってくださった方にお譲りするような気持ちでいます。

以前、デパートで接客の仕事をしていたので、商品を売る経験はありました。でも、品物やお客様に対する「気持ち」が全然違います。ひとつひとつの品物と話をしているような感じがして、本当に幸せです。
インド雑貨 カオス

誰かが一歩を踏み出すきっかけになりたい

――これからお店を通じてやっていきたいことはありますか?

以前の私のように、自分の生き方を探している人、特に女性たちの手助けができたらと思っています。
自分の経験を話したり、「いくつになっても人生は変えられるよ」と伝えたり。思い切って一歩を踏み出したい人の、背中を押せる存在になりたいですね。

あと、現在も瞑想は続けていて、過去の自分が体験したように、今後も瞑想を通じて自分自身や人生に向き合うことの楽しさ、素晴らしさをお伝えしていきたいと思います。

――50代で働き方や生き方を変えるのは、大きな勇気が必要だったと思います。

自分1人では何もできませんでした。出会った人たちとのご縁が重なって、ここまで来られたんです。

だから今度は、ご縁のある方の背中を私が押せたらいいなと。悩んでいる人が少し元気になれるような、小さなきっかけになれればと思っています。当時の私は、人との出会いにとても救われましたから。

20代でも30代でも、私より年上でも、悩んでいる人はいます。雑貨が目当てでなくても、お店に来て、少し元気になったり、気づきやきっかけを持って帰ってもらえたりしたら嬉しいですね。
◆インド雑貨「カオス」
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毎週水曜日の18時〜20時にカオスで無料の瞑想会を開催中
取材を終えて
インドには全く関心がなかったのに、周りの人の言葉に支えられて3週間のインド旅を経験したピョンピョンさん。この経験があったからこそ、50代以降の人生が大きく変わったということで、何歳になっても変化を恐れず、勇気をもって行動することの大切さを感じさせられました。
悩んだり迷ったりするときには、ふらりと「カオス」に立ち寄ると、何かのきっかけに出会えるかもしれません!
ウェルチル 私と誰かにちょっといいこと
番組「ウェルチル 私と誰かに、ちょっといいこと」

関西テレビ放送
木曜よる10時54分放送(関西ローカル)
次回もお楽しみに。