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山根千佳のハッキヨイ!入門〜初心者でも楽しめる大相撲の世界〜#8 「大相撲の未来に込めた思い」

 大相撲といえば国技館、力士の迫力ある取組、そして「ハッキヨイ!」の掛け声。興味はあるけれど、「なんだか難しそう…」「力士さんたちの見分けがつかない…」などと思っていませんか?

 実は、相撲の魅力は迫力ある取組だけではありません。相撲愛にあふれるスー女、山根千佳さんがグルメやイベント、力士の人柄など、初心者の方にもわかりやすく大相撲の魅力を語ります。最終回の第八回は「大相撲の未来に込めた思い」についてお聞きしました。
山根千佳:
1995年12月12日、鳥取県出身。2012年、「ホリプロタレントスカウトキャラバン」ファイナリストに進出。翌2013年、芸能界デビュー。相撲好きなことからその知識を生かした大相撲関連の番組などでも活躍。2024年には自身初となる著書、『山根千佳の大相撲の歩き方』(マイクロマガジン社)を出版している。

大相撲を見たことがない人にこそ、まずは実物を体感してほしい

 本当に相撲を全く見たことがない、テレビでもそんなに見たことがないっていう人にこそ、実際の大相撲を見てみてほしいですね。かつての私がそうだったように、実際に力士の方々を見るのが、一番「力士の方々ってすごい!」とその迫力を実感できるのではないかなと思います。

 近くで見ると、本当にみなさん大きくて、圧倒されます。力士の方々がこんなに力強い存在なのだと感じることが、これまで相撲を見たことのない人にとっては一番衝撃的だと思いますね。ファンサービスもすごく丁寧にしてくださるので、きっと出待ちなどですぐ近くで力士の方々を見たら、誰でも大相撲が好きになってしまうと思います(笑)

 あとは、怖いイメージや厳格なイメージがあって、なかなか観戦に行くのはハードルが高いという方は、YouTubeなどのコンテンツで力士の方々の素顔を見てもらうのが一番いいかなと思います。

 力士の方々ってこんな感じなんだ、と意外に感じるとともに、すごく親しみやすいと思ってもらえると思います。本場所や巡業以外の日常にしかない魅力も垣間見ることができますよ。

取組の平均時間は4秒。刹那に込められた思いこそが相撲の魅力

 これからの大相撲がどうなってほしいかというと、…難しいけれど、まずは、会場にもっとたくさんの人が入れるようになったらなとは思います。最近はほぼ全日程が満員御礼で、席を取ること自体が難しくなっています。見たいけれど、席が当選せず見られないという人がたくさんいるというのは嬉しいことには違いないけどもったいないことだなとも思ってしまいます。

 あとはやはり、いろんな世代の方に大相撲を見ていただきたいです。中でも若い世代の方に、もっと見ていただけると嬉しいです。伝統ある大相撲にしかない時代をタイムスリップしたような雰囲気は、格闘技とはまた少し違った魅力がありますから。格闘技が好きな若い男性などにも、ぜひ一度見てみてほしいなと思いますね。

 その点でいうと、今の大相撲って、18時には全取組が終了してしまうんですね。それだと、平日にお仕事があるとなかなか見に行くのが難しいと思っている人も多いのでは。本場所とは別枠でもいいので、ナイター相撲のようなイベントがあると、客層も大きく変わるんじゃないかなと思います。

 あとは、相撲を題材としたコンテンツも、もっと増えてくれたらいいなと思いますね。「サンクチュアリ」が世界的に流行ったので、ぜひ第二弾も出てほしいし、そうした若い世代に親しみのある映像のコンテンツがもっと増えれば、大相撲がもっと幅広い世代に広がっていくのではないかと思います。

 私は幼少期からずっと相撲が日常にある中で、辛い時に助けられたり、支えられた経験がたくさんあります。落ち込んでるときも、良い取組を見たら、わーっと気持ちが盛り上がって、嫌なことも忘れられる。大事な仕事の前には、気合いを入れるために名勝負を見てから出かけたり、私の中で大相撲はお守りのような存在なんです。

 せっかく日本に生まれたからには、国技といわれる相撲には一度触れて見てもらいたい。私もそこが入り口で、和装についても知りたいと思うようになり、和裁を学んでみたりしていて、相撲は日本の文化を知る入り口にもなりうると思います。

 野球やサッカーは基本チーム戦ですが、相撲は究極の個人戦。取組の平均時間は4秒と言われていますが、力士の方々はその4秒に人生を賭けて戦っています。その生き様が本当に格好いいし、勇気づけられる。力士の方々一人一人に、ドラマのような人生があって、それらがすごく魅力的なんです。

 私は相撲と出会って人生が本当に豊かになりました。だからこそ、自分の仕事を通して、もっと、色々な人たちにこの相撲の魅力を知ってほしい。魅力を知ったら、みんな相撲を好きになると思います。そういう願いを込めて、今後も頑張っていきたいと思います。

取材・執筆/和田愛理