日差しがやわらかくなり、まちわびた春がやってきました。気持ちも慌ただしくなりがちなこの時期は、環境の変化も相まって、気づけば一日がバタバタと過ぎ去ってしまうことも多いですよね。そんな時期だからこそ、忙しない日々の中で、好きなことにひたすら没頭できる時間を大切にしたいものです。
そこで、ウェルチル編集部が体験してきたのは、まるで本物の花のような美しさに心奪われる、「あんこのお花🄬」作り。SNSなどでその華やかな姿を目にしたことがある方も多いかもしれませんが、ただのお菓子作りを超えた没頭と癒やしの時間でもあるのです。
春を彩る桜のお団子ボックス作りを通じて感じた「あんこのお花🄬」の魅力とともに、和の素材が持つ魅力や、自分を整えるための心構えについて、和はなアートフード協会代表の末廣由香里先生にお話を伺いました。
お団子ボックス作りを体験。あんこの世界に触れる。
扉を開けた瞬間、ふわりと漂う甘い香りに包まれ、気持ちが昂ってきます。まず驚かされたのは、目の前に並ぶあんこの色彩の美しさ。これらの色は、全てビーツパウダーなどの天然素材で色付けされているのだそう。グルテンフリーや乳製品フリーにもこだわっていて、体に優しいというのもうれしいポイントです。
さっそく、「桜のお団子ボックス」作りに取り掛かります。まずは、お花を絞るための絞り袋の握り方から教わります。絞り袋を手のひらに一周させて、あんこを口金の方に集め、とにかくぎゅっと力が入るように握ります。可憐な見た目から、てっきり繊細で軽い力でできるものだと思い込んでいたのですが、実際に絞り袋を手にしてみると結構力がいることにびっくり。
あんこを一定の太さで絞り出すには、思っていたよりもずっと指先の力が必要なんです。ぐっと力を込めて絞り出すと、少しずつにゅにゅっと出てくるあんこの感覚が何だか癖になります。
挑戦したのは、春の象徴である「桜」の花びら。専用の口金を回転させながら、一枚一枚絞っていくのですが、これがもう本当に奥が深い…。ほんの数ミリ下の台の角度が違ったり、ひねる加減がわずかにズレたりするだけで、桜だったはずの形が、「菊……?」に。このままだと春のカラフル仏花ボックスになってしまいますから、気張って桜を作りにいかなければなりません。
一度出してしまうと、へんてこな形になっても戻すことができないこの心地よい緊張感。自然と背筋が伸びるような気持ちになりました。不器用な編集部にも、先生は『そう、その力加減!すごくいいですよ。初めてとは思えないくらい上手です!』と、絶妙なタイミングでポジティブな言葉をかけてくださいます。その温かい褒め言葉に、緊張していた指先も少し軽くなります。
「あ、今の少し寝かせすぎちゃったかな」「次はもう少し角度を立ててみよう」…そうして、自分の感覚だけを頼りに微調整を繰り返す時間は、まさに没頭そのものでした。気づけば周りの音も耳に入らなくなるほど集中していて、最後の一輪を絞り終える頃には、何とも言えない達成感に包まれていました。
やはり、他の生徒さんもそのようで、『いつもの生徒さん方も、皆さん、驚くほどシーンと集中して作業しています(笑)。でもそれは、自分自身の感覚に没頭している証拠です。「あんこのお花🄬」作りは、1時間の中でも自分の成長を実感できる。その達成感が、最高のリラックスやデトックスになっているのだと思います』と末廣先生。
なんとか桜の花びらを作り終わり…(「桜か?」というツッコミは置いておいて)
お次はベースのお団子に直接あんこをスタンプしていく作業。これでベースの華やかさがぐーんとアップします。
こちらは口金が最初から桜の形になっているので、なんとかクリア。本当に驚いたのは、あんこを絞るって終始握力が必要だということ…。可憐に見えるけど、なかなかしぶといあんこの粘度たるや。
何とか頑張りましたが、先生の見本と比べると、編集部がスタンプした部分が過疎っているような…しかし、そこは先生が見事に手直ししてくれますので、ご心配なく。
ベースが華やかになったところで、次は出来上がったお花たちを、リフターと呼ばれる小さなハサミのような器具を使って、ボックスへ丁寧に並べていきます。つまみ上げる時に、あんこを崩してしまいそうでドキドキ…ですが、一輪ずつ表情の違う桜が箱の中に咲いていく様子は、まるで自分だけの小さなお庭を作っているようなワクワク感がありました。
仕上げに、桜の塩漬けをのせたり、ビーツパウダーと黄色のあんこをつかって、桜の花芯を作ったりします。
花芯を入れると、編集部の作った菊のような、桜のような、ミステリアスなお花もぐっと桜らしくなりました。
これにて、桜のお団子ボックスの完成です!完成したら、先生が用意してくださった特別なフォトスポットへ。あえて作り込まれたその空間に置いた瞬間、自分の作品が魔法にかかったように三倍増しで可愛く見えて、思わず「かわいい……!」と自分で感動してしまったほどです。そういった空間の演出によって、自分の作品を愛でてもらうところまでが、教室の醍醐味なんだとか。
食べるのがもったいないほどの美しさですが、自分で苦労して絞ったお花は愛着もひとしお。心躍るものを作る楽しさと、静かに自分と向き合うリラックスしたひとときは思考の時間でした。忙しい毎日にちょっとした余白を求めている方に、ぜひこの没頭体験を味わってほしいなと感じる教室です。
こちら、食べるのがもったいないほど…とはいうものの、このあと、編集部が美味しくいただきました。もちもちのお団子に、お上品な白餡の甘さがたまりません。食いしん坊な編集部、やはり最後は「花より団子」?
末廣先生にインタビュー!あんこのお花の魅力とは?
なんと、和はなアートフード協会代表になる前までは、客室乗務員として海外を飛び回っていたという末廣先生。そんな先生に、ご自身のキャリアや教室への想い、そして「没頭」についてお話を伺いました。
ーー全く違う世界への挑戦に不安はなかったですか?
正直、もともとお菓子作りは得意ではなかったんです(笑)でも、子育てをしながら海外を飛び回る働き方は難しく、何か「自分にしかできないこと」を探していました。出産を機にキャリアが一度白紙になって、そんな時にSNSで見かけた「あんこのお花🄬」の写真に一目惚れしてしまって…。ただ「絶対にこれを仕事にしたい!」という直感だけでこの世界に飛び込みました。この技術なら、自分の手元ひとつで新しい世界が作れると確信したんです。
ーーあんこや素材へのこだわりについて教えてください。
素材にこだわっているのは、当時、生後半年だった子供に食べさせても安心なものを作りたかったからです。和菓子本来のヘルシーさを活かしたくて、合成着色料は使わず、今回も使用した、ビーツパウダーなど天然素材だけで色を出しています。「心も体も喜ぶもの」、それが一番のこだわりです。
そういったところでこの教室を選んでくださる生徒さんも増えていますね。そうしたこだわりをもとに、ペット向けのアートフード教室も展開しています。
ーー受講される方は、どのような年齢層の方が多いのでしょうか?
圧倒的に多いのは、子育てが一段落した50代前後の方々です。「第二の人生で新しいことに挑戦したい」という情熱を持った方が全国にいらっしゃいます。和はなアートフード協会では、一定の技術を持っている方に認定講師の資格を発行し、好きなところで教室を開いてもらうことができるよう支援しています。現在、認定講師は全国に780名を超え、各地で新しいキャリアをスタートさせています。
ーー最後に、一歩踏み出せない読者へメッセージをお願いします。
「行ってみたら、絶対に楽しい」。これに尽きます! 合わなければやめればいい、くらいの気軽な気持ちで大丈夫。その一歩の先に、想像もしていなかったワクワクする時間が待っていますよ。
「あんこのお花🄬」作りの技術が家でも学べると話題沸騰中!
「可愛いお花しぼりあんこのお花練習帖」 著 末廣由香里