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教えてもらったゆず胡椒を、家でも作ってみる。できあがったのは「ゆず胡椒風」? 手作りの結末と晩酌 Vol.2

毎月ひとりで気になるスポットを訪ねる朝井麻由美さんの連載「ソロ活女子の体験レポート」。前編では、教わりながら手作り「ゆず胡椒」が完成。後編は「ひとりでも簡単」とタカをくくって挑んだ自宅での再チャレンジから、失敗に学ぶゆず胡椒づくりの落とし穴をお届けします。
初めてのゆず胡椒作りは無事に終わり(前回記事)、そのまま一緒に作った人たちと、出来立てのゆず胡椒を使って食事を楽しむことになった。
出来た柚子胡椒を使って食事を楽しむ筆者
豚しゃぶに生野菜、豆腐などの薄味のものにゆず胡椒をつけて食べるといくらでもいけてしまう。
生野菜に柚子胡椒を付けて楽しむ筆者
あと、「そもそもゆず胡椒それ単体だけでもツマミとして成立するなぁ」と改めて思う。それも作り方を思い返せば当たり前ではある。柑橘の皮と、辛い物と、塩。柑橘は割り物のお酒では定番の味だし、辛いものはお酒が進む。塩なんてお酒の友達どころかソウルメイトと言っていい。塩あるところにお酒あり。雑なことを言えば、ツマミなんてしょっぱければたいてい旨い。そもそも、塩そのものをツマミにすることだってある。
他の参加者と食事を楽しむ筆者
手作りゆず胡椒を瓶に詰めて持ち帰ってから3週間ほどたった頃。味はかなり落ち着き、まろやかになっていた。お店で食べるゆず胡椒とかなり近い味わいだ。この瓶は親指ほどのサイズでかなり小さい。バクバク食べているとあっという間になくなってしまうだろう。
……なくなったときのために、家でも作れるようになっておきたい。
そこで、ゆず胡椒作りin自宅を試みることにした。簡単だったし、ひとりでも作れるだろう。

タカをくくっていた私だが、結論から言うとひとりでのゆず胡椒作りは失敗に終わることになる。これから書き綴るのは、私のような失敗をしないよう、同じ轍を踏まぬよう、私がなぜ、どのように失敗したのかについてである。ほら、成功者の話よりも、失敗した人の話のほうが役に立つというでしょう。

まずは食材調達。はっきり言ってこれが最も難しい。これ以外の失敗については、ひとえに私の準備不足や、ちゃらんぽらんなところが災いしただけなので避けようがある。食材調達に関しては、住んでいる地域によってはどうしようもないかもしれない。
まず前回、記事の冒頭でも書いた通り、いわゆるオーソドックスなゆず胡椒には青ゆずと青唐辛子が必要となる。これが全然スーパーに売っていない。遠くのスーパーを何軒も探し回れば見つかったであろうけれど、正直めんどくさかった。ゆず胡椒を作りたい気持ちと、食材探しが面倒な気持ちとの間で揺れながら、ゴロゴロと寝転がってウーバーイーツの画面を眺め、怠惰を極めていたときのことだ。ウーバーにはスーパーでの買い物代行をしてくれるサービスがある。高いので普段使いするようなものではないが、これなら多少遠くのスーパーの品揃えも検索することができる。
すると、あった。ちゃんと青唐辛子と青ゆずが、あった。ウーバーがこんな形で役に立つとは……。ただし、注文した数に対して、青ゆずの在庫が足りなかったからか、なぜか一部だけゆずではなくかぼすが届いた。代替品としてかぼすが選ばれたのだろう。
せっかくなので少しだけかぼすも混ぜてみることにする。

(※ちなみに、これが公開されている9月末現在は、おそらく青ゆずと青唐辛子の季節は終わっており、作るなら普通のゆずと赤い唐辛子を使うことになると思う)
青い柚子
ゆず(&かぼす)の皮を剥き、合計で30gになるようにする。
剥いたゆずの皮がボウルに入っている
気をつけながら剥いてはいたものの、ひとりでの作業となるとかなり時間がかかる。途中、じれったくなってスピードを上げた結果、ちょっとだけ指を切ってしまった。丁寧な暮らし、難しい。
剥き終わったゆずの皮
続いては青唐辛子。ゆず胡椒作りを教わったときに、あれほど『皮膚や目に染みるから手袋とマスクは必須』と言われていたのに、ひとり分だし少量だから大丈夫だろう、と私は丸腰で臨んでしまった。これがもう、大バカ者だった。
ボウルに入った青唐辛子
作業している最中は唐辛子のヒリヒリは何も感じないのだが、じわじわとやってくる。特に、ゆずの皮剥きの際に指をケガしていたので、絆創膏を貼っていたにも関わらず、傷口にずっと激痛が走り続けていた。さらに、ゆずの皮剥きをする際に、指の腹が刃に触れることは何度もあった。このせいなのか、手を洗っても洗っても指の皮膚がヒリヒリヒリヒリ、痛かった。皮剥きの際に刃が皮膚に何度も当たったことで、傷まではいかずとも、指の腹の皮膚が薄くなっていた可能性が高い。指だけではない。頭をかけば頭皮がヒリヒリし、目をこすれば目から涙が止まらなくなる。これが翌日まで断続的に続いたのだ。

そして、青唐辛子のタネとワタを取ったところで、私は途方に暮れた。あると思っていたフードプロセッサーが、ない。そういえば、ずいぶん前に故障して捨てたような気がしてきた。
タネとワタを取り終えた青唐辛子
一応作り方を教わった際、すり鉢だけでも作れるのと、そもそもひとり分くらいの少量だとフードプロセッサーも回りにくいからすり鉢のほうがいいとは聞いていた。でも……、これを、全部すり鉢で……? 無理じゃない?

ゴリゴリ……ゴリゴリ……。ゴリゴリ……。

言い訳をさせてほしい。かなり長い時間、すり鉢でゴリゴリはした。努力はした。
けれど、いくらゴリゴリしても、ゆず皮も青唐辛子も原型を保ったままだった。

すり鉢の中身を、指でつまんで口に放り込んでみた。数々の居酒屋を飲み歩き、様々なツマミでお酒を嗜んできた私ならわかる。このままでも充分飲める。
「青ゆずと青唐辛子の塩和え ゆず胡椒風」。目の前の緑色した何かを、私はそう名付けた。
豆腐、ゆば、サーモンのたたき、青ゆずと青唐辛子の塩和え
豆腐と湯葉とサーモンのタタキ。出来立ての「青ゆずと青唐辛子の塩和え ゆず胡椒風」。
そしてえんがわの押し寿司。これが本日のツマミだ。これらのツマミに、前回記事で作って持ち帰ったゆず胡椒の瓶詰めをのせて食べていく。
サーモンの上に柚子胡椒と青ゆずと青唐辛子の塩和え
ゆず胡椒を合わせるには、ツマミ自体の味が濃すぎないほうがいい。豆腐や湯葉の相性は抜群だし、脂ののった刺身系も合う。
えんがわの押し寿司に柚子胡椒
特に、えんがわの押し寿司とゆず胡椒の相性は抜群だった。柑橘の風味とピリ辛の青唐辛子が、えんがわの脂っこさを絶妙に緩和してくれる。
えんがわの押し寿司の上に柚子胡椒
その後も私は色々な食べ物にゆず胡椒を添えた。パスタも野菜炒めもお茶漬けも、何にでも合う。今ある瓶詰めがなくなったら、今度こそフードプロセッサーを用意して、手袋とマスクをつけて、もう一度作ってみたい。ゆず胡椒の出来損ないをちびちびかじりながら、リベンジを誓った。

(取材・文/朝井麻由美)