京都・下鴨神社のほど近く。観光地や地元の人が行き交う通りに、思わず足を止めたくなるかわいい蕎麦屋があります。
のれんをくぐると迎えてくれるのは、厳かな老舗とは違う、やわらかく親しみやすいカフェのような空気。京都らしい趣を大切にしながらも、肩ひじ張らずに楽しめる一杯の蕎麦。その背景には、店主 honocaさんが大切にしている「ある想い」がありました。
「あふひ」に込められた地域や家族とのつながり
――「あふひ」という名前にはどのような由来があるのでしょうか
「あふひ」と書いて、「あおい」と読みます。
当店が隣接する世界遺産・下鴨神社の神紋は「葵の葉」。そして当店があるこのエリアは「あおい地区」と呼ばれており、「あふひ(あおい)」は昔からこの地に受け継がれてきた名前なんです。
歴史と地域へのリスペクトを込めて、「あふひ」と名付けました。
――「あふひ」を始められたきっかけを教えてください。
料理は幼いころから身近な存在で、母方の家族が飲食業を営んでいたこともあり、お店を手伝う機会もありました。
23歳まで留学していて、帰国後は日本料理の勉強をしていたんです。さまざまなジャンルの料理を学ぶ中で、蕎麦打ちも習っていました。
そんな中、『あなたの作る蕎麦は本当においしいから、お店をやってみたら?』という家族の言葉が後押しとなり、蕎麦屋を始める決心をしたんです。
意外となかった「かわいい」にこだわる蕎麦屋
――他の蕎麦屋さんとの違いはどのような点にありますか。
「あふひ」では「かわいさ」を意識しています。
一般的に、蕎麦屋は格式が高く、少し入りづらい印象のお店もありますが、若い方もご年配の方も入っていただきやすいように、「かわいくてカジュアルな蕎麦屋」を目指すことにしたんです。
例えば、蕎麦の上にのせるエビ天ぷらはカラフルなあられで衣を作り、見た目にも楽しい一品に仕上げています。かわいいだけでなく、出汁に漬けてもカリッとした食感が保ちやすいという点も大切です。
また、豆乳を泡立ててカプチーノのように仕上げた「豆乳美人蕎麦」も、シンプルながら見た目の美しさにこだわりました。豆乳と出汁の相性も良く、お客様からも好評をいただいています。
店内のインテリアは和を基調とし、オシャレなカフェのような雰囲気に仕上げました。
『どこの花屋さんに頼んでおられるのですか?』と聞かれることがあるのですが、季節の花も、私の自由な発想で気ままに飾っています。
メニューもインテリアも「かわいい」ところが、店づくりのこだわりです。
「誰でも入りやすい蕎麦屋」を目指して
ーーどのようなお客様が多いのでしょう。
来店されるお客様はお子様連れの方、ご年配のご夫婦やお友達同士のグループ、着物姿のカップル、下鴨神社へ参拝した帰りの方々などとさまざまで、世代を問わず、多くの人にお越しいただいています。
誰でもふらっと立ち寄れる空気感や、「蕎麦屋なのにかわいい」という、他にはない世界観を大切にしています。
――お蕎麦のこだわりを教えてください。
当店では国産の十割蕎麦を使用していますが、あえて、蕎麦の香りが強すぎないものを選びました。
個人的には香り高い蕎麦が大好きなのですが、普段、蕎麦にあまり親しみのない方にも気軽に楽しんでいただくためには、個性の強すぎない蕎麦が良いのではと考えたんです。
いくつもの産地や種類の蕎麦を食べ比べながら、今の味にたどり着きました。
――蕎麦屋として一番うれしいことは?
大みそかに食べる年越し蕎麦として、当店を選んでいただけることが嬉しいですね。
誰にとっても大切な「一年の締め」というタイミングに、縁起物として「あふひ」の蕎麦を選び、召し上がっていただけるということに大きな喜びを感じます。
自分自身も『1年間、よく頑張ったな』という充足感に満ち、お客様に『良いお年をお迎えください』とお声がけする時には、本当に感慨深い気持ちになります。
あふひ
京都市左京区下鴨松ノ木町52-1
☎︎075-744-1873
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取材を終えて
京都には老舗や「名店」と言われる蕎麦屋が数多くありますが、どこか敷居が高いもの。そんな中、「蕎麦に親しみがない人でも、気軽に入れるお店にしたい」という店主の言葉が印象に残りました。
「蕎麦屋は入りにくい」という固定概念を変えてくれるのが、「あふひ」最大の魅力。「いつも貴方のお“蕎麦”に…」というコンセプトに込められた、「かわいい蕎麦屋」のやさしい一杯を味わってみてはいかがでしょうか。
番組「ウェルチル 私と誰かにちょっといいこと」
関西テレビ放送
毎週金曜よる10時52分放送(関西ローカル)
次回もお楽しみに。