いつ起こるかわからない災害への備え。フェリシモの「みんなのBOSAIもしもしも」シリーズは、これまでの防災グッズの概念を覆すかわいいデザインと使い勝手の良さで注目を集めています。防災アイテムの定期便と基金参加の2つの軸で展開する新しい防災プロジェクトの開発背景や想いについて、フェリシモのご担当者にお話を伺いました。
プロジェクトの原点は、お客様からの一通のメール
フェリシモ みんなのBOSAIもしもしもⓇ プロジェクトリーダー 武智 直久さん
武智:東日本大震災の際「私一人では何もできないけれど、フェリシモさんは何か支援など考えておられますか」という一通のメールをお客様からいただき、ポイントで基金に参加できる「メリーしあわせ基金」を設立しました。30年前の阪神・淡路大震災や東日本大震災での被災地支援経験がプロジェクトの原点となっています。
防災に関するイベントや勉強会にも参加するうちに、性別や年齢、生活環境に応じて多種多様な準備が必要になることに気づかされ、その経験を活かした防災アイテムと情報を次世代に伝えていく取り組みとして「みんなのBOSAIもしもしも」は誕生しました。
具体的には『もしものときを支える防災アイテムの定期便販売』と、『もしものわたしも、もしもの誰かも みんなでみんなを支える基金参加』という2つの軸で「誰も取り残さない防災」を目指しています。
自宅外・自宅・外出先の3つの避難シーンに対応した防災ラインナップ
自然災害にあった際の状況に応じて、3つのカテゴリーを想定して準備すべき定期便を提案しています。①自宅外避難 ② 自宅避難 ③ 外出先での避難の3つです。
①自宅外避難
『みんなのBOSAIもしもしもの備蓄定期便』
"インフラの復旧や支援物資の到着までにかかるといわれている3日間の私"を守ることをテーマに、保管や持ち出しを考え、できるだけ少なく軽量化した基本の備えとして『みんなの防災 もしもしも きほんのきセット』を用意しています。
女性と男性では必要となるアイテムが異なることに着目し女性の防災に特化した『どんなときでも私らしく過ごすための7つの魔法の会』、能登半島地震での経験から防寒アイテムや衛生用品の重要性を学び、震災後の減災視点と多様性にも配慮してデザインした『ふだんから意識する 7つのあたため習慣の会』も展開しています。
『どんなときでも私らしく過ごすための7つの魔法の会』
②自宅避難
首都圏では被災者の大多数が避難所には入れないという事実を踏まえ、防災アナウンサーの奥村奈津美さんと共同開発した『自宅を最強の避難所にする準備の会』を提供しています。
③外出先での避難
『おうちに帰ろう!』をコンセプトに、宇宙でさまよう宇宙飛行士になぞらえてデザインした防災関連の定期便のパイオニア『スペースエマージェンシーキット』があります。
そして、「ふだんに食べてもおいしい備蓄」をコンセプトに神戸のおいしいものをお届けする備蓄食品セット『備蓄でお守り KOBE BOX2』も提供しています。「ビーフシチュー」「鮭の塩焼き」や「やさいとくだもののジュース」「クッキーバニラ」など3食&おやつが入っています。
もしもの被災に備えておき、半年間何ごともなく過ごせたらおいしく食べて新たな備蓄を準備する、循環型のローリングストックを勧めています。
――KOBEBOX2内のアイテムをセレクトする際の、こだわりや考え方があれば教えてください。
フェリシモ KOBE BOX2企画担当 山川 尚美さん
山川:長期備蓄の食品は気づかぬうちに賞味期限が切れてしまうことも多いため、見えるところに置いて『食べて補充』を繰り返すローリングストックを推奨しています。そのため、見せたくなるかわいいボックスに食品を詰めました。
中の食品は、災害が起こったときでも日常に近い食事ができるようバランスを考え、災害でなくても買い物に行けなかった日や疲れて料理をしたくない日などにも活用できるようにセレクトしています。
特に、過去の被災経験者からいただいた『野菜が足りなかった』『お米が食べたかった』『同じものばかり続いた』『甘いものが食べたかった』といった声を反映し、野菜をたくさん使ったメニューや、お米を使った主食は、ご飯、麺類、ブレッド風のものなど食べ方に変化をつけ、さらにおやつと飲み物もセットにしています。
次世代へつなぐ防災の輪
――大学生との試食会に関して、この取り組みの意図や思いについてお聞かせください。
神戸防災のつどい2025 フェリシモ_もしもしも防災×神戸学院大学 防災女子「ふだんの日から もし・もしもの時に備えたアレンジレシピ」の様子
単純に、思いを引き継ぎたいというのが本音です。試食会をすると震災体験者の当時の話もを聞くことができます。生の体験談を聞くことで、過去に起こった震災を少しだけ自分ごとに置き換えられる機会にもなると考えています。
また、会話することで何か災害が起こった際に、自分以外の人のことを考え、コミュニケーションをとってほしいという思いもあります。
――「もしもしも」の利用者からの反響はいかがですか?
イベントでブースを訪れてくれた方から「防災グッズなのにかわいい」という声を多くいただきます。一般的な防災グッズといえば、いかにも防災というデザインが多いのですが、私たちは商品開発する際に、フェーズフリー(普段使いできる)を大切にしています。普段から使える「かわいい」の延長線上に、防災(もしも)の時にも使える!という考え方を意識して開発しています。
ウェルビーイングにつながる防災の準備
――「もしもしも」へのウェルビーイングに対する想いを教えてください。
防災の準備は安心をもたらすことができます。まず、生活状況に応じて自分で備える『自助』による安心。次に、みんなで守り合う『互助』がもたらす安心感。そして、防災ガイや防災訓練を通じた知識の習得です。
災害への備えは、可能性だけでは行動に移しにくいものです。しかし、生活の節目で必要性を感じたとき、「フェリシモになら自分に合った防災の答えがある」と思っていただけることが、私たちの願いです。
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防災グッズというと、どうしても「いざという時のため」と考えがち。「もしもしも」の取り組みを通じて見えてきたのは、防災は特別なことではなく日常生活の延長線上にあるということ。かわいいデザインで気分が上がり、普段使いできる便利さがあって、でもしっかり防災の機能も備えている……こんな防災グッズなら、毎日のウェルビーイングにもきっと役立ちそうですね。