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デジタルクローン技術でウェルビーイング!?

科学の力で自らの分身を生み出すAIクローン技術。クローンといえば、映画やアニメなどの世界を思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、AIクローン技術はもうフィクションの話ではないのです。実際にAIクローン技術を開発し、ウェルビーイングに貢献している企業があると聞き、調査員が突撃取材してきました!

東京のオフィスビルでクローン研究?

調査員が向かったのは、東京・六本木の中心部にあるオフィスビル。一見、普通のビルですが、ここで本当にクローン研究が行われているのでしょうか?

恐る恐る訪ねてみると、株式会社オルツの広報・西澤美紗子さんが出迎えてくれました。

株式会社オルツ 広報・西澤美紗子さん

オフィスはシンプルな黒のデスクと黒のチェアが並べられていますが、空席が目立ちます。
西澤さんによると、社員は全員リモートワークのため、オフィスはいつも静かな状態なのだそう
クローン研究の装置などがあるかとイメージしていたのですが、とても開発現場とは思えません。
ちょうどリモート会議中ということで、画面に目を向けると……あれ?
ディスプレイに映っているのは、なんと西澤さんです。
これは一体どういうことでしょうか?

これこそオルツが開発・提供している「デジタルクローン」で、西澤さんが席を外す時に代わりにリモート会議に出席しているそうです。
画面に映っているのは、西澤さんのクローンだったんですね!

デジタルクローンが本人に代わって仕事をサポート

デジタルクローンとは、人工知能(AI)を使ってクラウド上にもう一人の自分を作り、仕事を分担する最新技術です。
クローンに自己紹介を頼むと、スラスラと回答してくれました。
デジタルクローンはAIに、生年月日や好きなもの、尊敬する人など、13項目以上の基本情報を学習させて作成するそうです。更にSNS、メールの内容などを学習させて学習を継続させることで、本人とほぼ同じような考え方や知識を持ったクローンが作られるとのこと。クローンの西澤さんに「好きな芸能人は誰ですか?」と聞いてみると、ちゃんと推しの俳優を答えてくれました!

10年前からデジタルクローンの開発を始めたオルツでは、社員約100名分のデジタルクローンを作成し、運用しているんです。

社員100人分のデジタルクローンを運用

このデジタルクローンを使って、社員はどんなウェルビーイングな働きをしているのでしょうか。実際の仕事を見せてもらうことにしました。

デジタルクローンでウェルビーイングな働き方を実現

社員の男性がクローンの西澤さんに「プレスリリースを作成してください」とお願いすると、すぐにプレスリリースの文章が出来上がりました。
「タイトルを50文字以内で3つ考えて」という追加リクエストにも、すぐに対応してくれました。文句も言わずに仕事をしてくれるなんて、優秀すぎですよね!
西澤さんは子育て中のママですが、以前は買い物中にもメール確認やスタッフとのやりとりなどの対応をしていたそう。でも今では、クローンが代わりに対応してくれる仕事が増えてきたため、家族と過ごす時間をゆっくり取ることができるようになったそうです。まさにウェルビーイングな働き方ですね。

雑用的な業務をある程度クローンにやってもらえば、自分の仕事の負荷が減り、その分クリエイティブな時間に集中したり、ゆっくり休憩したりできますね。

本人には言いにくい内容も、その人のデジタルクローンにまず相談

総務の稲原彩音さんが話しているのは、社長のデジタルクローンです。1週間ほど海外に行きたいと相談していました。
「1週間休ませて」なんて、社長には直接言いにくいことを、まずはクローンに相談してみます。
すると、クローン社長から前向きな回答をいただきました!
忙しい社長にわざわざ時間を割いてもらう前に、まずはクローンに相談しておくと、社長の考えが予測できます。社員同士のコミュニケーションが円滑になるところも、ウェルビーイングのポイントですね。

デジタルクローンを開発した背景

デジタルクローンを開発した背景について、社長のクローンに話を聞いてみました。

米倉社長のデジタルクローン

クローン社長の回答は、「現代社会において多くの人々が非生産的な作業に時間を費やしていることに問題を感じたから」とのことでした。
藤子・F・不二雄先生の『パーマン』に登場するコピーロボットからも大きな影響を受けているそうです。

その後、本物の米倉社長と合流。本物の社長からもお話を伺うことができました。

オルツでは、社員がより創造的な作業に専念できるよう、クローンを活用するだけでなく、クローンが働いた分の給料も支払われる仕組みを導入しているそうです。
クローンが稼働した分まで、本人に給料が加算されるなんて、なんてすごい仕組みでしょう!

米倉社長の給与支給明細の一部

米倉社長は「楽をすることは大事な仕事です。どこに力を入れるべきかを判断できる社会を作ることが大事かなと思ってます」と語ります。

まとめ

デジタルクローンを活用したウェルビーイングな働き方なら、仕事もプライベートも充実させることができそうです。雑務をデジタルクローンに任せて自分の時間を増やし、クリエイティブな業務に集中できれば、生産性の向上も期待できますね。
『パーマン』のコピーロボットが現実のものとなる日も近いかもしれません。

取材協力:株式会社オルツ
文:馬場絵美