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睡眠を価値に変えるアプリケーション&デバイス

近年、睡眠の質が私たちの健康やパフォーマンスに与える影響が注目されています。その中で、「眠ること」がそのまま価値に変わるというユニークなコンセプトを持つ「ブレインスリープ コイン」が登場しました。今回は、この新しい睡眠デバイスを開発したブレインスリープの伊藤氏に、その特徴や開発の背景についてお話を伺いました。

株式会社ブレインスリープ広報 伊藤美紀さん

ブレインスリープが考えるウェルビーイングとは?

――睡眠とウェルビーイングへの想いをお聞かせください。

伊藤:脳まで眠る睡眠医学と、先進のテクノロジーで、人の可能性を目覚めさせる。」という企業目的を掲げています。睡眠は単なる休息ではなく、身体の回復や成長、メンタルの安定、免疫力向上に不可欠な生命活動です。質の良い睡眠を通じて、人間が持つ本来の力を最大限に発揮することが可能になります。

日本は先進国の中で最も睡眠時間が短い国の一つとされており、弊社の調査でも睡眠の質が低いという結果が出ています。現代において、日本人が睡眠時間を確保することは難しいものの、「睡眠の質」を改善することで、翌日のモチベーションや日中のパフォーマンスを向上させ、ひいては一人ひとりの人生を豊かにできると考えています。

睡眠の価値を最大化する「ブレインスリープ コイン」とは

伊藤:「ブレインスリープ コイン」は、睡眠の質を分析し、スコア化することでコインが貯まり、そのコインを特典やサービスに交換できるアプリケーション&デバイスです。従来の睡眠計測デバイスでは、主に「何時間寝たか」といったデータに着目していましたが、「ブレインスリープ コイン」では、よりパーソナルな分析が可能な独自のアルゴリズムを採用しています。これにより、睡眠の深さや寝姿勢、いびき、寝床内温度といった多角的なデータを収集・分析し、ユーザーごとの最適な睡眠環境を提案します。

ブレインスリープ コインは、こうした「睡眠の質の向上」を実現するためのツールの一つです。睡眠の状態を可視化し、改善点をフィードバックしながら、コインを通じてポジティブな行動変容を促すことで、ウェルビーイングの向上につなげています。

具体的な特徴としては以下が挙げられます。

1.眠りを分析 – 高性能な睡眠計測技術
睡眠医学に基づいた独自のアルゴリズムを搭載し、精緻な睡眠分析を可能にします。従来の睡眠計測デバイスでは捉えられなかった睡眠ステージ(睡眠の深さ)、寝姿勢、いびき、環境音、寝床内温度(布団の中の温度)など、多角的なデータを解析します。体動情報から理想的な寝姿勢やいびきの影響を分析し、ユーザーに適した寝具の選定をサポート。また、温度センサーを活用して、布団の適切な状態を診断する機能も備えています。

2.眠りを改善 – より快適な入眠と目覚めをサポート
ブレインスリープ独自の音楽コンテンツが、快適な入眠とスムーズな目覚めをサポートして、睡眠の浅いタイミングを検出し、最適なタイミングで目覚められるアラーム機能を搭載しています。さらに、日々の睡眠データを解析し、個々の睡眠状態に応じたアドバイスを提供しています。継続的な睡眠改善を促し、より良い睡眠習慣の確立を支援します。

開発時の苦労とこだわり

―― 開発の背景にはどのような課題がありましたか?

日本人の平均睡眠時間は7時間22分で、先進国の中でも最も短いとされています(OECD調査)。また、睡眠の質についても課題が多く、特に「どのような寝姿勢が適切か」「いびきの影響はどれくらいか」といった自身の睡眠の詳細を把握している人は少ないのが現状です。

そこで、私たちは「睡眠を知ること」がヘルスケアの次の大きなトレンドになると考えました。そして、単に睡眠を計測するだけでなく、改善に向けたフィードバックを提供し、さらにその行動が価値に変わるという仕組みを作ることで、睡眠の改善を楽しく継続できるようにしたいと考えました。

―― 具体的にどのような点にこだわりましたか?

開発の中で最も苦労したのは、睡眠データの解析精度を高めることでした。特に、睡眠ステージの中でも「深い睡眠」の判定が難しく、従来の体動センサーでは正確に測定することができませんでした。

そこで、国立大学法人電気通信大学と共同研究を行い、従来にない新しいアルゴリズムを開発しました。これにより、より精緻な睡眠データを取得し、個々のユーザーに最適な睡眠環境の提案ができるようになりました。

また、「睡眠の質向上を楽しめる仕組み」にもこだわりました。睡眠のスコアがコインに変わることで、ユーザーが「もっと良い睡眠をとろう」と前向きに取り組めるような設計を行っています。

未来の展望

―― 今後の展開について教えてください。

収集した膨大な睡眠データを分析することで、新たな睡眠に関する知見を発信し、
より多くの人々が自身の睡眠に関心を持つような取り組みを進めていきたいと考えています。
さらに、睡眠計測を通じて得られるポジティブな影響にも着目しています。たとえば、睡眠を計測することで「朝の気分が明るくなる」「新しい趣味を始める」といった行動変容が生まれることも分かっています。今後は、睡眠を軸にしたライフスタイルの提案など、新たなサービス展開にも取り組んでいきます。

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「ブレインスリープ コイン」は、単なる睡眠計測デバイスではなく、「眠ること」がそのまま価値に変わるという画期的な仕組みを持つプロダクトです。日本の睡眠課題に向き合いながら、より多くの人が質の良い睡眠を手に入れられるよう、新たな可能性を広げています。インタビューを通じて感じたのは、単なるデバイスの開発ではなく、「睡眠をもっと楽しめるものにしたい」という強い思いでした。私たちが普段何気なくとっている睡眠も、より意識を向けることで、生活の質を大きく変える力を持っているのかもしれません。