10月は、来年の手帳が店頭に並び始める手帳の新調シーズン。新しい一冊を手に取るときの高揚感と、どんな一年を描こうかという期待感は格別です。スケジュール管理のためだけでなく、日々の気づきや感情を記録する「ジャーナル」として使う人も増えています。
今回お話を伺ったのは、小さめ手帖愛好家としてInstagramでの発信を行う傍ら、自らオリジナルの手帳「syy planner」(スー・プランナー)をプロデュースするまれさん。学生時代のアルバイト管理から始まった手帳との関わりは、やがて自己表現や内省の時間へと広がっていきました。手帳選びや使い方のヒントを通して、あなたの秋を少し豊かにする視点をお届けします。
予定の管理だけでなく、自分の気持ちをなんでも書き留めるためのツールとしての手帳
ーーまれさんの手帳を使い始めたきっかけについて聞かせてください。
手帳自体は学生の頃から使っていましたが、本格的に使い始めたのは大学生の時ですね。バイトのシフト管理が必要になったからです。当時はネットやカレンダーアプリなどがあまり普及していなかったので、手軽に使えるものとして手帳を使い始めました。
ーー手帳を選ぶときに一番重視しているポイントや譲れないポイントはありますか?
やはり毎日見るものなので、ビジュアルは大切ですね。次に、持った時の質感を大切にしています。同じ手帳でもカバーが違うと買わないこともありますし…革や布など温かみのあるものが好きですね。紙の色に関してもこだわりがあって、アイボリーっぽいような白が強すぎないものが目に優しくていいなと思っています。
サイズに関しては、やはり小さい方を好んで使っていますね。というのも、自分の書く文字がもともと小さいというのもあるのですが、文字を小さく書いておくと、ふとした時に他の人に内容が読まれにくいという安心感があるんです。また、小さい手帳だと机の上のスペースを気にせず開くことができるのも良いところですね。
デジタルツールではなく紙の手帳を選んだのは、気持ちを書けることと、デジタルツールはアップデートで使えなくなることがあるからです。紙の手帳はこれまで書いたことも探しやすいですし、パラパラと見て過去の出来事も思い出しやすいんです。
ーー今使っている手帳の種類やブランドについて教えてください。
多い時は年間10冊以上買うこともありますが、実際に使っているのは2〜3冊程度です。現在は仕事用にSUNNY手帳(いろは出版株式会社)、デコ日記用に「ほぼ日手帳weeks(株式会社ほぼ日)または「夜とカフェオレと日記帳」(DAIGO)、加えて、自分でプロデュースした「syy planner」を使っています。
他にも様々な手帳を持っていますが、大きい手帳は書くときに場所を取ってしまうので、結局、A6か大きくてもB6サイズに戻りましたね。
ーーページ構成や書き方のルールはありますか?
書き方のルールというほどでもないのですが、手帳ごとに使うペンを決めています。主にSTYLE FIT(三菱鉛筆)を使うことが多いですね。
仕事の予定と仕事のタスクは同じ手帳に書いて、家族の予定は冷蔵庫のカレンダーとデジタルカレンダーアプリで共有しています。
そのほかにも自分でやりたいことも予定として組み込みたいので、それは別の手帳に記録しています。年内で終わる情報は手帳に、何回も見返す必要のある情報はNotionやAppleのメモアプリなどデジタルでまとめることもあります。
手帳を選ぶときに大切なのは「何に使いたいか」。用途を考えて買うことで自分に合った相棒をお迎えできる
ーー初めて手帳を買う人へのおすすめの選び方や注意点はありますか?
「この手帳を何に使いたいか」を考えて買うことが大切です。時間管理が目的なら24時間バーチカルタイプ、月単位の予定確認が目的ならマンスリーブロックタイプなど、目的によって選ぶフォーマットは変わります。
また、1冊で1年間過ごさなければならないというプレッシャーを感じる必要はなく、使い方に変化があったら買い替えようという気軽な気持ちで使い始めてみる方が良いと思います。私は、たとえ数ヶ月しか使わなかったとしても、使った期間が充実していれば、それは価値のある買い物だと思うようにしています(笑)
ーー忙しい人でも続けやすい手帳の使い方のコツはありますか?
いきなり1日1ページの大きい手帳から始めると挫折しやすいので、小さい手帳を選んだり、最初は1行だけ書くなど負担を少なくするといいのではないでしょうか。
また、手帳を書くことを習慣化したい場合は、すでにある習慣に手帳を書く習慣をくっつけると続けやすくなると思います。 例えば、朝コーヒーを飲む習慣のある人だったら、お湯を沸かしている間に手帳を書くようにするということですね。
自分の気持ちに向き合うために作った手帳「syy planner」。手帳を書くことで自分のできていることに目を向ける
ーーまれさんのプロデュースした「syy planner」について教えてください。
「syy planner」は元々自分用に作った手帳のフォーマットでした。それをInstagramにUPしているうちに、フォロワーさんから「販売してほしい!」という要望があり、商品化に至りました。
もともと完璧主義で、毎日余裕がなかった自分が、自分の気持ちを拾い上げる時間を作ることができるように、この手帳を作りました。毎日の反省をしているとついつい「できなかったこと」に目を向けがちだったので、「今あるもの」や「できていること」に目を向けられる手帳を目指しました。
特徴は、A6サイズの小ささ、日付が入っていないので気軽に休んでもいいこと、週や月の振り返りページがあること、3ヶ月分冊版なので気持ちを切り替えやすいことですね。加えて、全ページカラーになっているので、全ての欄を書かなくてもかわいく見えることも特徴です。
ーー手帳を書くことを通じて、前向きな気持ちになれるということですか?
思っていることを書き出すことで、文字の量や行数から「自分って意外と頑張っているじゃん!」と気づくことがあります。視覚化することで自己肯定感につながるんですね。
スマホの容量がいっぱいになると動作が重くなるように、頭の中も同じで、考えていることを書き出すことが大切だと思います。手帳を書くことで、頭の中のストレージが整理されてすっきりすると、前向きな気持ちになれるんですよ。
また、書くことで自分が本当にやりたいことに気づくこともあります。例えば、「できたこと」の欄に家族のことばかり書いていることに気づき、、自分はいつも家族を優先しているんだなと気づくことができました。それが、本当に自分がやりたいことなのかをジャーナリングしながら考えることで、働き方を変えるなどの決断にもつながりました。
ーー まれさんにとって手帳とはどんな存在ですか?
私にとって、手帳はお風呂のような存在です。毎日の生活の中に自然にあり、リラックスできる場所。お風呂には裸で入るように、手帳を書くときも自分の素に戻れるような安心感があります。あとは、お風呂場には大抵鏡がありますよね。手帳も自分の気持ちを映し出す鏡だと思います。
ーー 今後まれさんが手帳に関して挑戦してみたいことはありますか?
「syy planner」についてはパタンと180度開くようにしたいということと、カバーをつけたいという展望があり、将来的にはクラウドファンディングを実施したいと考えています。
その先には、ロフトやハンズなどの量販店で、この手帳が並ぶようになったら嬉しいです。
また、現在はデコレーションから遠ざかっているので、余裕ができたらデコレーション日記なども書けたらいいなと思っています。
まとめ
手帳は予定管理の道具以上に「自分に寄り添う時間」を与えてくれる存在。完璧に続けなくても、書いた分だけ気持ちが整理され、前向きになれるのが手帳の魅力です。まずは小さめの一冊から、気軽に始めてみませんか。ページを開くたびに、自分の声に耳を傾けるひとときが訪れるはずです。
まれ|小さめ手帖愛好家|手帳と文具で自分の今に寄り添う𓂃✍︎ 𓈒𓏸
https://www.instagram.com/o6_maree/
まれさんプロデュースの「syy planner」が日本手帖の会・「第14回 手帳100冊!書き比べ総選挙!!」に出場!
https://tsj.connpass.com/event/341666/
【日程】
10/11(土),12(日)神戸 NAGASAWA Journal Style & Chair Factory
10/24(金),25(土)名古屋 紙の温度
11/1(土)~11/3(月)東京 東京インターナショナルペンショー内
11/8(土),9(日)長崎 石丸文行堂本店