2025年9月12日、JR「高輪ゲートウェイ」駅より徒歩1分の場所に、株式会社ルミネが運営する大型商業施設「ニュウマン高輪」が開業しました。「BUNKITSU TOKYO」は、ニュウマン高輪Southの5階にオープンした大型書店。運営するのは、出版取次「日本出版販売株式会社」のグループ会社「ひらく」です。
「BUNKITSU TOKYO」は、「文化を喫する、入場料のある本屋」として、従来の書店の概念を超えた新たな形で本との出会いの場を提供する「文喫(ぶんきつ)」の新店舗です。入場料が必要となる有料のカフェラウンジはもちろん、無料で利用できるエリアも充実。本を中心とした豊かな時間と空間を楽しめます。
今回は、店長の長尾凪紗さんにインタビューを実施。「ニュウマン高輪」に出店した経緯や店舗コンセプト、今後のビジョンなどを伺いました。「BUNKITSU TOKYO」が掲げる「心が躍る、自由で楽しい本屋」の姿に迫ります。
開発が進む高輪エリアに誕生した“ふらっと”立ち寄れる街の本屋
——ニュウマン高輪に「BUNKITSU TOKYO」がオープンすることになった経緯についてお聞かせください。
TAKANAWA GATEWAY CITYは「100年先の心豊かなくらしのための実験場」と位置付けられ、まちづくりが進められています。その象徴的な施設であるニュウマン高輪も、新たな“まちづくり”に挑戦しています。
「ひらく」が運営する「文喫(ぶんきつ)」は、近年、街の書店が減少傾向にある中、「どのような形であれば街に本屋が残れるのか」を模索して生まれました。我々にとって「文喫」は“書店があり続ける未来”を目指す新しい書店モデルに挑戦する場であり、その理念がニュウマン高輪はもちろん、TAKANAWA GATEWAY CITYとも共鳴していることから、「BUNKITSU TOKYO」のオープンを決定しました。
——開業にあたり、課題はありましたか? あったとしたら、どのようにして解決しましたか?
街の人たちへ「読書や本とともにある暮らし」をどのように提案するかが課題でした。これまでの「文喫」は、本と過ごす豊かな時間を提供すべく入場料制を導入することで、利用者の大半は「本好きな人」でした。従来のスタイルを活かしつつもどのような形の店舗にするか、社内で何度も検討を重ねました。
書店としての最終的な目標は、お客様に本を購入していただくことです。本を購入していただくためには、「本が生活の一部になる」「本のある空間で過ごす」といった、本との出会いの場を演出する必要があります。試行錯誤の結果、「BUNKITSU TOKYO」では、既存店舗と比べて無料で利用できるスペースの拡充を決定。より多くの方に開かれた書店として、「空間そのものを楽しむ」「通りすがりに立ち寄った場所に本がある」といった体験を提供する方針にしました。
“一つの街”のように見立てたレイアウト、自由で楽しい空間づくりを意識
——どのようなコンセプトでお店づくりをしていますか?
「BUNKITSU TOKYO」のコンセプトは、「心が躍る、自由で楽しい本屋」です。意識しているのは、どのエリアでもお客様が「自由で楽しい」と思えるような空間づくり。例えば書棚であれば、一般的な書店にあるまっすぐな棚というよりは、少し湾曲している、楕円形であるなどさまざまな形の什器を使用しています。
選書にもこだわり、売れ筋の本だけでなく、「BUNKITSU TOKYO」がおすすめする一冊を提案しています。「あなたにとって自由で楽しい本は、このような本ではないですか?」と、本を通じてお客様と会話ができるような棚づくりを心がけています。カフェラウンジ(有料)では、「文喫」らしさを意識した“コア”なテーマで選書する、“積読”を意識した陳列にするなど、無料エリアとは異なる自由な棚づくりをしています。
——店内のレイアウトには、どのようなこだわりがありますか?
「BUNKITSU TOKYO」全体をひとつの街に見立て、お客様の日常生活に自然に溶け込む空間となるよう意識してレイアウトしています。
児童書エリアは「ときどきやま」、ライフスタイル関連書籍を扱うエリアは「ノマドマド」など、それぞれのエリアに名称を設けています。
文芸・文庫エリアは「tomarigi」と名付けています。丸い什器を大きな木の幹に見立て、人々が集い、ふと立ち止まって休む様子をイメージしています。曲がりくねる道や、角を曲がった先に新たな景色が広がるように、棚の配置やお客様の動線にも工夫を凝らしています。
本がある空間で過ごすことが、ウェルビーイングの第一歩
——ウェルビーイングの視点から、「BUNKITSU TOKYO」を楽しむポイントをお聞かせください。
本がある空間で過ごすこと自体が、ウェルビーイングの第一歩になるのではないかと思います。忙しく働いている方でも本棚を眺めて、「あの本を読んでみたいな」と思うことから、すでにウェルビーイングが始まっているのではないでしょうか。時間に余裕ができたときは、本を手に取って読んでほしいですね。その場で読んで帰ってもいいですし、「気になるな」と感じた本を記憶に留めていただけるだけでも意味があると感じています。もちろん、本を購入して帰っていただけるとうれしいです。まずは、「本とのふれあい」を作ることが大切だと感じています。
——長尾様がおすすめする「ウェルビーイングな1冊」を教えてください。
『るきさん』(高野文子・著 筑摩書房)です。「るきさん」のマイペースな暮らしを「サザエさん」のような感じで眺めながら、自分の生活を大切に、仕事ばかりではなく小さな幸せを大事にしたいとに思える本です。
——「BUNKITSU TOKYO」の今後についてお聞かせください。
「BUNKITSU TOKYO」の軸となるのは、「本との出会い」です。多くのお客様にとって、「BUNKITSU TOKYO」が、探していた本と出会える場所になればうれしいです。私自身も、お客様からおすすめの本を教えていただく機会が多くなるだろうと感じています。本と人、人と人が自然につながる場所が、「BUNKITSU TOKYO」から生まれることを願っています。
——ウェルチルの読者の方へメッセージをお願いします。
読書をすると、心に余裕が生まれ、頭の中にもゆとりが広がる気がします。ぎゅっと縮こまっていた気持ちが、少しずつほどけて楽になるような感覚です。もし、「自分が何に興味があるのか分からない」と感じている方がいれば、本屋に立ち寄ってみてください。ふらりと棚を眺めたり、なんとなく店内を歩き回るだけでも気分転換になりますし、思いがけない発見があるかもしれません。
BUNKITSU TOKYO
所在地:東京都港区高輪2-21-2 ニュウマン高輪 South 5F
営業時間:11:00〜20:00(L.O.19:30)
不定休 ※ニュウマン高輪の定休日に準ずる
HP:https://tokyo.bunkitsu.jp/