ウェルチル

人生100年を楽しむためのウェルビーイングメディア

画像

入浴・睡眠・水分補給と組み合わせる。“疲れない夏”の総合ルーティンVol.4

夏の疲労回復に有効な「アクティブレスト」にプラスしたい、疲れにくい体づくりをするための生活習慣とは。スポーツトレーナーの坂詰真二さんに、暑い夏こそ取り入れたい、入浴・睡眠・水分補給のポイントについて伺いました。

アクティブレストの効果を最大化する入浴法とは?

夏になるとシャワーで済ませる人が増えると思いますが、疲労回復の観点では、入浴、つまり湯船につかりたいところです。入浴することで得られる3つの効果があります。

1つ目は「水圧」によって血管が圧迫されて血液が心臓に戻りやすくなり、血流が促進される効果。2つ目は「浮力」によって無重力に近い状態になり、筋肉が脱力する効果。とくに普段重い頭や腕を支えている肩や首、肩甲骨周りの筋肉をゆるめるには、首まで湯船につかることがおすすめです。そして3つ目は「温度」。冬の場合は温かいお湯で血管を拡張し、入浴後に熱が逃げることで深部体温が下がって入眠しやすくなります。ですが夏場はエアコンで冷えすぎた場合を除いて、37〜38度くらいのぬるく感じる温度でゆったり入るのがよいでしょう。体に熱がこもっていると感じたら心地よく感じる範囲で体温以下に設定すると熱中症予防にもなります。入浴前後には必ず麦茶やミネラルウォーターなどで水分とミネラル(電解質)を補給してください。
入浴は、滞った血流を促進して、疲労物質の代謝や筋肉と神経の緊張緩和を促す高い効果があるのです。

夏の睡眠の質を高める、運動と入浴の関係

自律神経のバランスの面から考えると、夕方16時ごろに軽い運動をするのが最も効率良く、運動後に副交感神経へ切り替わりやすくなり、心身が休息へ向かいます。会社勤めをしていて難しい場合は、午前中や日中に軽く体を動かして体温を上げ、日中に一度しっかり交感神経を働かせるといいでしょう。駅や商業施設、オフィスなどではできるだけ階段を使う、電車は座らずに立って乗る、といったことでも大丈夫です。帰宅時は自宅最寄りの1駅前で下りて歩いてみるなどするとさらにいいでしょう。

このように軽く運動を取り入れながら、しっかり入浴することが効果的です。気温が高い夏は表皮や末梢の血管が拡張して熱を逃そうとしますが、それでも体に熱がこもりやすく、深部体温が下がりにくい状態です。そのため、体温よりやや低いぬるめのお湯につかって体にこもった熱を逃がしながら筋肉を休めましょう。
帰宅後すぐに入浴して体の熱を落ち着けてから夕食をとるのもよい方法です。体温が下がることで食欲が出やすくなる場合もあります。

夏の運動時、水分補給と栄養のポイント

人間の体は常に熱を産生しているので、体温を下げるために発汗をしていますが、摂取する水分が少ないと発汗量が減って体に熱がこもってしまいます。夏に汗で失われた水分はこまめに補う必要があります。また、たくさん汗をかくと、水分だけでなく塩分などのミネラルも失ってしまいます。そこへ水だけを大量に補給すると体の塩分濃度が低下し、手足がつるなど筋けいれんのリスクが高まってしまうことにも。水分補給には電解質を多く含んだミネラルウォーターや麦茶などが良いでしょう。スポーツドリンクはミネラルを補給できる一方、糖が少なからず含まれているので食欲が落ちてしまうことがあるため、糖の量を抑えた、もしくは含まないスポーツドリンクがお勧めです。

私たちの体は日常的に1日約2.5リットルの水分を摂取・排出しています。水やお茶、食事でのみそ汁などから水分を摂取し、汗や尿や不感蒸泄(ふかんじょうせつ・皮膚や呼気から失われる水分)などで排出しているのです。夏は汗の量が増えるので、通常より500ミリリットル〜1リットル、環境によってはそれ以上の水分を摂る必要があります。たとえば、毎朝同じ時間に体重を測って体重が減っていたら、それは水分が不足しているサインです。「体重が減った!」と喜んではいけません。夏場に体重が減っていたら熱中症や夏バテの兆候です。意識して水分補給してください。

夏こそ心がけたいアクティブレスト習慣

「なんだか疲れがたまってる……」と感じると、休日にまとめて運動をしよう、あるいは体を癒やそう、と考えがちです。しかし、一度蓄積された疲労を回復するには、時間も手間もかかってしまいます。ですから、小さな疲労を早めにリセットすること、そしてそもそも疲れないように予防する習慣をつけることが大切です。

たとえば、一般的に女性は足がむくみやすい傾向がありますが、夕方に足のむくみを感じても、夜にマッサージや休息などで翌朝むくみが取れているうちはいいのです。ところが対策せずに血流の滞りなどが続くと、静脈瘤のリスクも高まってしまう可能性も。

そのようなことを防ぐためにも、できるだけ早めに疲労を解消することを心がけましょう。1時間に1回体を動かすことや、座りっぱなしを避けて、立つ・動くを意識することも予防になります。座った姿勢でいる際も体をまっすぐ保つこと、足を組むなどして姿勢の左右差を作らないこと、なども腰や肩などの負担軽減につながります。

暑い夏を乗り切る体づくりのために

近年の夏の暑さは命に関わるレベルになっています。無理に暑さと戦う必要はありません。暑さに負けないことよりは、暑さをうまく避けることを最優先にしましょう。日常の中で体を守る工夫を積み重ねることが重要です。

運動をする場合は空調の整ったスポーツジムを利用したり、公共施設のクールシェアスポットで少し階段を上り下りするなど、涼しい環境を活用してください。デパートやスーパーに買い物に行ったときに、のんびり各階でウィンドウショッピングをするなど、日常の中で小さな運動を取り入れるのがいいでしょう。夏場こそ日常的な軽い運動を意識することが、疲労を回復させながら体力低下を防ぐことにつながります。
「頑張る」よりも、「続ける」ことが大切。ジムでも自宅でも、自分の生活に合ったアクティブレストを取り入れて、無理のない運動習慣を始めてみてはいかがでしょうか。

取材・執筆/早川奈緒子 編集/EGGO
坂詰真二(さかづめしんじ)
スポーツトレーナー(フィジカルトレーナー/パーソナルトレーナー)。横浜市立大学で運動生理学を学び、フィットネスクラブ勤務などを経て1996年に独立し「スポーツ&サイエンス」を主宰。アスリート指導やトレーナー育成、講演活動のほか、雑誌やテレビで運動指導・健康情報を発信している。新刊「筋トレ解剖図鑑」、ベストセラー「世界一やせるスクワット」等、多数の著書がある。
まとめ
・夏でもシャワーだけで済まさず、湯船に浸かろう。入浴で得られる3つのメリットをご紹介。
・運動と入浴の組み合わせが、睡眠の質を左右する?
・アクティブレストを取り入れて、暑い夏を元気に乗り切ろう。