お笑いコンビ「アルコ&ピース」平子さんに、心地よく幸せな人生を歩むための哲学を教えていただく連載企画『アルピー平子のロマンチック哲学』。第4回目のテーマは、「平子流・お金への向き合い方」です。
連日さまざまな番組に引っ張りだこの平子さんですが、売れっ子になるまでには長い苦労の期間があったそうです。著書『今日も嫁を口説こうか』では、下積み時代の揺れ動く思いや、当時はまだ結婚前だった奥様とのエピソードも明かされていました。
人気お笑い芸人になった今、過去を振り返った平子さんが、何を思うのか。お金という切り口から、平子さんの哲学を探ります。
平子祐希:
1978年12月4日、福島県いわき市出身。お笑いコンビ「アルコ&ピース」のボケ担当。2012年「THE MANZAI」で3位入賞を飾り、バラエティ番組やラジオMC、俳優業でも活躍。相方は酒井健太さん。類稀なる愛妻家としても知られており、2020年には妻・真由美さんへの愛や結婚観を綴った自身初の著書『今日も嫁を口説こうか』(扶桑社)を出版している。
お金への無頓着さが、仕事の熱量を保つ秘訣
まったく仕事がなかった時代に比べると生活は潤ったと思いますが、安定を感じることはありません。収入が保証されているわけでもないし、来月仕事がなくなってもおかしくないというヒリヒリ感は、常にどこかで感じています。
実は僕、結婚してからはお金の管理はすべて奥さんと税理士さんにお任せしているので、自分が今いくら稼いでいるのか、知らないんですよ。それぞれの仕事のギャラがいくらなのかも、わかっていない。むしろ、把握しないようにしているというか。
これは僕の人間的な弱さでもあるんですが、ギャラの多さによって仕事の熱量も影響されてしまう部分があると思うんです。せっかくいただいた仕事だから、常に全力を注ぐ自分でありたい。そのためにも、あえて報酬の面については無頓着であるようにしています。
長く使えるものを選ぶ。価値あるお金の使い方の流儀
「せっかくお金を使うなら、長く使えるものを」というのが、僕の流儀。靴を買うときも、トレンドのものを買うよりも、ちょっといい革靴を選ぶようにしています。自分でメンテナンスして、いい具合にエイジングしていく様も楽しいですし、身の回りの一つひとつをしっかり愛でて長く使うのって、大事な心持ちじゃないかと思うんですよね。
子どもたちにも、その場の安さに飛びつくよりも、長い目で見てずっと楽しめるもののほうが、ずっとお得だし価値があると話しています。奥さんへのプレゼントも、この先もしかしたら娘に譲られることもあるかもしれないと考えて、時代によって廃れることのない定番デザインを選ぶ。世代を超えて受け継がれていくロマンを、どこかで感じているのかもしれません。
働く原動力は、妻への感謝。等価交換できない大きな支え
僕にとって、働く一番の理由は、奥さんに感謝を返したいから。無名だった時代、奥さんには本当に支えてもらったんです。他の芸人さんでも、下積み時代にパートナーの方に支えてもらったエピソードはよくあると思うんですけど、僕は中でも群を抜いてると思う。単純な金額で考えても、彼女には恩を返しても返しきれないくらい、心から感謝しています。
例えば当時、僕を支えるために、彼女が500万円くらいの金銭的な負担をしてくれていたとするじゃないですか。今僕が働いて稼ぐ500万円と、20年前の500万円って、絶対に対等な価値ではないんですよね。まだ20代だった彼女が、苦労して働いてやっと貯めたお金を僕のために使ってくれたと思うと……。同じ額を返しても、等価交換にはならないと思います。
減っていく貯金残高を見て、不安に思った日もあると思う。でもそんな素振りは少しも見せず、芸人を辞めようか迷っている僕に「辞めないで」って言ってくれた恩は、計り知れないです。一生かけてようやく補填できるかどうか、と思うくらい。シンプルになんでも買って贈りたいですし、そのためにももっと働きたいって、思っています。