お笑いコンビ「アルコ&ピース」平子さんに、心地よく幸せな人生を歩むための哲学を教えていただく連載企画『アルピー平子のロマンチック哲学』。第6回目のテーマは、「平子流・仕事と家庭のバランス術」です。
夫婦共働きで家事・育児に取り組む家庭がどんどん増えている昨今。働くパパ・ママを悩ませる問題の1つが、仕事と家庭のバランスの保ち方です。下積み時代から支えてくれた奥様への深い感謝を常に抱いていると語った平子さんは、ご夫婦それぞれがどのような役割で家庭を営んでいるのでしょうか?
平子祐希:
1978年12月4日、福島県いわき市出身。お笑いコンビ「アルコ&ピース」のボケ担当。2012年「THE MANZAI」で3位入賞を飾り、バラエティ番組やラジオMC、俳優業でも活躍。相方は酒井健太さん。類稀なる愛妻家としても知られており、2020年には妻・真由美さんへの愛や結婚観を綴った自身初の著書『今日も嫁を口説こうか』(扶桑社)を出版している。
平子家は夫婦分業制。家を支える妻には最上級の感謝を
我が家は僕が仕事、奥さんが家事・育児と、それぞれの担当が気持ちいいくらいにスパッと分かれています。芸人という仕事の特性上、早朝家を出て深夜帰宅する日も少なくない中で、どうしても家事や育児に関われないことが増えてしまって。家事・育児に関しては奥さんにおんぶに抱っこ状態ですが、だからこそたくさん稼いで、家族に還元していきたいという気持ちは人一倍大きいです。
今は子どもたちも大きくなりましたが、今より小さかった頃は、奥さんが出かけた日に僕が2人を見ていることもよくありました。正直、想像以上に過酷だった。1日があまりにせわしなくて。僕が仕事で山奥のロケをやろうが、大喜利1000本ノックをやろうが、家事・育児の大変さには敵わないと思いましたよ。
昔奥さんに、「あなたが外で仕事に集中できるような環境を整えたいから、家のことは私に任せてね」って言われたことがあるんです。パートナーにこんなことを言える人、なかなかいないじゃないですか。奥さんの懐の大きさには、本当に頭が上がりません。
専業主婦の方でも、子育てしながら働いている方でも、きっとその日々はあわただしく、疲労も尽きないだろうと思います。「俺は稼いでいるから」なんて威張るのは言語道断。時間が許す限り僕も家事をしつつ、それが難しいときでも常に感謝の気持ちを持つ。そして少しでも収入を増やして、何か一つでも多く奥さんや子どもたちの夢を叶えてあげたい、その一心です。
限られた時間に、スキンシップで子どもたちに愛を伝える
子どもと会う時間も、どうしても限られてきますね。寂しい話ですが、深夜帰宅・早朝出発がしばらく続いた後、久々に家族が起きている時間に帰ると「なんだか背が伸びたな」と思うこともあります(笑)。
こんな生活なので、子どもたちと過ごせる時間が少しでもあれば、ずっと抱きしめています。夫婦でもそうですけど、子どもたちに対してもスキンシップは大切にしたいと思っているんです。僕も奥さんも、同じようにスキンシップを多くとるタイプの家庭で育っているので、僕たちの間に生まれた彼らには避けられない運命みたいなものなんですよ。特に中1の息子なんて、思春期まっただ中ではありますが、どんなに嫌がられても、力づくでも抱きしめます(笑)。
子育ては、一人でするものじゃない
仕事の少なかった時期は、僕も洗濯物を干したり掃除機をかけたりすることがよくありました。今となってはそうした時間がまったく取れなくなってしまった。思い返してみると、一緒に家事をする何気ない時間がとても愛おしいものだったんだなと感じます。奥さんに任せっきりになってしまい申し訳なく感じる反面、ありがたいことだなとも思ったり。家事をする暇もないくらい、仕事が充実しているということですから。
世の中には、仕事と家庭のバランスに悩む方も少なくないと聞きます。もしそのような方々に何か伝えられるとしたら、それはあなたのせいじゃないということ。周囲のサポートの手が届いていないだけなんです。まずはぜひパートナーやご家族に頼ってみてほしいし、遠慮せずに行政や育児支援サービスに全力で寄りかかってほしいです。
家事も育児も、一人でこなすのには限界がある。寄り添いあって、少しでも心地いい状態を見つけてくれたらと思います。
取材・執筆/神田佳恵