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貞明皇后直筆のデザイン画!? 大阪・高島屋史料館で「Imperial Warrant 皇室の御用達」展

大阪市の高島屋史料館で今月始まった展覧会、「Imperial Warrant 皇室の御用達」。
史料館の入る「高島屋東別館」が、リニューアルから5周年を迎えたことを記念しての展覧会です。
2020年にリノベーションオープンした「高島屋東別館」

2020年にリノベーションオープンした「高島屋東別館」

会場に着くと、いきなり、鮮やかな色合いの巨大なデザイン画が…
「Imperial Warrant 皇室の御用達」展
天皇が即位する際の儀式に使われた、錦の旗の下絵だそう。大迫力!

高島屋史料館が、周年の展覧会で、皇室にまつわるものを展示する理由。
それは、織物をメインに、高島屋が皇室と長いお付き合いがあったからなんです。

1831(天保2)年に、古着木綿商としてスタートした高島屋。
その後、日本に洋風建築が広まっていく中で、窓掛(カーテン)や壁張、椅子張など、室内装飾も手掛けるようになります。

迎えた1887(明治20)年。焼失で皇居を再建する際、高島屋は、「明治宮城(皇居)」に使う窓掛(カーテン)や、装飾織物を担当しました。

豪華で壮大な建築でしたが、今残っていないということは…
そう、第二次世界大戦で、またも焼失… その姿を見ることはできません。

…が!
高島屋は、内装に使った織物の見本裂(みほんぎれ)を集めた屏風を保存!
失われた「明治宮城」の当時の様子をうかがえる、すごく貴重な資料を今回見ることができます!
「Imperial Warrant 皇室の御用達」展
一つ一つが本当にきれいで、どんなに素晴らしい内装だったでしょう…
「Imperial Warrant 皇室の御用達」展

宮内庁書陵部画像公開システムより

「Imperial Warrant 皇室の御用達」展

オレンジ囲みの部分の装飾

皇室への納入も多くなった高島屋は、1897(明治30)年、制度ができて早々に「宮内省御用達」に認可されました。
よく聞くやつ!明治のオフィシャルな制度だったんですね。

展覧会で、ひと際かわいらしかったのがこちら。
「Imperial Warrant 皇室の御用達」展

中山冝一『國華』(港区立郷土歴史館蔵より)

「お好み裂(ぎれ)」と言って、天皇・皇后の“お好み”を反映した織物で、アルバムの表紙などに使用されたそうです。
今見てもおしゃれなものばかり!かわいい!

そして一番驚いたのが、こちらのお好み裂のデザイン画です…
なんと…… 大正天皇の皇后の、直筆と思われるものなんです… 
「Imperial Warrant 皇室の御用達」展
「此絵は大正皇后陛下の御染筆と思ふ」と、図案家(デザイナー)がメモしていることから、貞明皇后自ら筆を執った絵だと思われるそうです!
(鳥の頭部)「は も少し小さきかと思われる」など、細部にわたってこだわっている様子が垣間見えます。すごい資料… 面白すぎる…

これを受けて、悩みに悩むデザイナー… (そりゃそうだ…)
「Imperial Warrant 皇室の御用達」展
背景色が濃いので少々見づらいですが、結果このようなデザインに。おしゃれです。
「Imperial Warrant 皇室の御用達」展
これが織物になり、皇后や周りの方への贈り物に反映されます!

他にも…
「Imperial Warrant 皇室の御用達」展
こちらは、ビロード生地のデザイン画。
昭和天皇の皇后・香淳皇后のものだそうです。素敵ですね…
連綿と続くお付き合いが感じられて、まさに“御用達”!

さて、楽しいのとびっくりでお腹いっぱいですが、さらにスピンオフ情報です。
史料館のある「高島屋東別館」の建物の歴史は、1923(大正12)年に一部がオープンして以降100年以上。国の重要文化財に指定されている、貴重な建築なんです。
「Imperial Warrant 皇室の御用達」展
ここ、なんともともとは、別の百貨店「松坂屋大阪店」だったそう…!びっくり!
「Imperial Warrant 皇室の御用達」展
1968(昭和43)年に高島屋東別館になって以降、事務所や史料館として使用されたため、お客さんに合わせて改築する必要が無く、当時の面影が感じられる部分が残っているんだそうです。楽しすぎる…

そして、最後のびっくりは…
これだけ貴重なものが見られて、入場はどなたでも【無料】とのこと!なんで!?

大阪にアクセスできる方は、ぜひ一度訪れてみては?
リニューアルオープン5周年記念展 Imperial Warrant 皇室の御用達
会期/2025年9月6日(土)~2025年12月22日(月)
会場/高島屋史料館 企画展示室