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茨城から全国へ。カナフキンさんが語る「ほしいも」がつなぐ人と地域の魅力

寒い季節、自然な甘さでほっと心を和ませてくれる「ほしいも」。実はその約9割が茨城県で生産されていることをご存じでしょうか。シンプルながら奥深い保存食として長く親しまれてきたほしいもは、近年では健康志向の高まりとともに改めて注目を集めています。

今回は、茨城県PR大使として活動するカナフキンさんに、ほしいもの魅力や生産の背景、そして茨城県を全国へ発信する活動について伺いました。

カナフキン プロフィール

カナフキン
かつて広告会社に勤務し、地方自治体のPRを担当。地域の魅力を知りたい、茨城と全国をつなぎたいという思いを抱き、2022年4月に退職して旅人になることを決意。

以降、「カナフキン」として全国を巡り、旅先での出会いや発見を発信。ラジオ出演やSNSでの情報発信を通じて、ほしいもをはじめとした茨城の食や文化を広く紹介。

また、各地を旅しながら、その地域の魅力を取材し、茨城との共通点やつながりを発見して共有。「茨城と全国をつなぐ存在」を目指し、地域同士の架け橋となる活動を続けている。

茨城とほしいも。国内生産9割を誇る「天然スイーツ」

ほしいも
ーーまず、茨城県とほしいもの関係について教えてください。

茨城県は、国内のほしいも生産シェアで約9割を占めています。さつまいもの農業産出額自体も全国一位で、高品質なサツマイモを生かしたほしいもを全国に届けているんです。

茨城でほしいも作りが盛んな背景には、自然条件があります。冬でも晴天が多く、海からのミネラルを含んだ潮風が吹く気候は天日干しに最適。また、火山灰由来の水はけのよい土壌が、甘くて美味しいさつまいもを育てるのに欠かせません。自然と人の技術が重なり合い、茨城のほしいもは全国一の存在になったのです。

ーーほしいもの魅力はどんなところにあるのでしょうか。

さつまいもを蒸して、切って、乾燥させる。たったそれだけのシンプルな製法で作られるのがほしいもです。だからこそ、ごまかしがきかない。サツマイモの質と作り手の技術がすべてを決めます。

蒸かしたての芋は柔らかく崩れやすく、熱いうちに皮をむき、丸干しや平干しに整えるのは熟練の技が必要です。手間をかけて仕上げられたほしいもは、自然の甘みがぎゅっと凝縮した「天然スイーツ」。食物繊維が豊富で子どもから大人まで安心して食べられる、ヘルシーなおやつとしても人気を集めています。

私のお気に入りは、皮をむいたさつまいもを切らずに丸ごと干す「丸干し」です。「ねっとりとした濃厚な甘さが特徴で、食べ応えがありますよ!

ほしいも認知度アップのための取り組み

ほしいも
ーーほしいもの課題はあるのですか。

アンケートで「好きなサツマイモスイーツ」を尋ねたところ、『ほしいも』と答えた人はわずか5%。さらに、『ほしいもの産地といえば?』という質問でも、茨城と答えた方は3割ほどしかいなかったんです。

こうした現状を変えるため、茨城県も力を入れています。たとえば、1月10日を「ほしいもの日」と制定し、2025年は初めて「全国ほしいもグランプリ」を開催。県内外から多くの生産者が参加し、日本一を競うという取り組みを開始しました。

また、東京・有楽町の茨城県アンテナショップ「IBARAKI sense」では、秋冬限定でほしいものサブスクを実施しています。さらに、駅前イベントでは100種類ものほしいもを販売し、3日間連続で行列ができるほどの盛況ぶりを見せました。地道な取り組みで、ほしいもの魅力を広く伝えていきたいですね。

茨城の魅力は「人」。カナフキンさんの茨城愛

ーーそもそも、茨城をPRするようになったきっかけは?

もともと水戸市で『梅大使』を務めたことがあり、その経験で生まれ育った茨城の魅力を改めて実感しました。もっと知りたい、伝えたいという思いが強くなり、茨城県広報事務局の仕事に関わるようになったんです。
その後、広告会社を辞めて旅人となり、日本各地を巡る道を選びました。きっかけは魅力度ランキング最下位という不名誉な常連ぶり。

大好きな茨城が47位なら、他の県はどんな魅力があるんだろう? そんな素朴な疑問から全国を旅することにしました。旅を通じて、全国の良さを知ると同時に、自分のアイデンティティはやはり茨城にあると気づいたんです。
現在は旅先で茨城を紹介したり、SNSで全国の魅力を発信したり。
実家が農家でさつまいもの栽培も行っており、地元のほしいも会社と連携して【旅するカナフキンのほしいも】を作りました。

このほしいもは、旅先で出会った方々や、大阪・関西万博で繋がりが出来た各国の方々にもお渡ししています。
今後は、国内だけでなく万博で出会った国の方を訪ねる旅も計画中です。「旅するほしいも」とともに、茨城のやさしい甘さを世界に届けたいと思っています。
茨城から全国へ。カナフキンさんが語る「ほしいも」がつなぐ人と地域の魅力
ーーカナフキンさんが考える茨城の魅力とは?

やっぱり“人”ですね。茨城には、暮らしや伝統、食文化を大切に守り、未来へつなごうとする人たちがいます。ほしいもは単なる特産品ではなく、茨城の自然や人の営み、そして未来へつながる文化そのもの。そうした熱い想いを持つ茨城の人々のことを、もっと多くの方に知ってほしいんです。

取材を終えて

取材を通して、ほしいもは単なるおやつの枠を超えて、地域の誇りや人々の思いを体現する存在であることを感じました。自然条件に恵まれた土地で丁寧に作られた甘みは、まるで茨城そのものの豊かさを映し出しているかのようです。

そして、全国を旅しながら茨城を伝えるカナフキンさんの姿からは、「好きな場所を愛し、語り、広める」ことの力強さを教えられました。ほしいもを味わうひとときが、誰かの心に小さなウェルビーイングを灯す。そんな未来を茨城から発信していくという意気込みを感じました。応援しています!