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身近な薬膳や自然から心身を整える。食のプロフェッショナル・赤堀真澄さんインタビュー!<前編>

最近、“薬膳”という言葉を聞くことが増えていませんか? 東洋医学の考えに基づき、食べ物が持つ栄養素や効能で体を整える薬膳は、心身を満たすウェルビーイングに通じる食事の方法です。今回インタビューした赤堀真澄さんは、身近な食べ物で体調を整える薬膳を打ち出し、大阪にある国際薬膳学院の学院長も務められています。食のプロフェッショナルである赤堀さんに、薬膳の視点を通して、心地よく生きるためのヒントを多角的に語っていただきました。

<profile> 赤堀 真澄さん

幼い頃からの不調を薬膳で改善したことで、薬膳を自らの道に選ぶ。香港で学んだ本場の中医学を基に、実践しやすい食のセルフケアで体質改善のサポートを届ける。一般社団法人日本食医食美研究会の代表理事や国際薬膳学院の学院長、和学薬膳®協会の理事長も務め、大学などでも指導。国際中医師、和学薬膳®博士、唎酒師と、数々の資格も保持。

日本各地への旅から、暮らしに根付いた薬膳を肌で感じる

―最近、没頭していることは?

赤堀:今は、地方を巡る旅に夢中なんです。その土地の郷土料理を味わったり、道の駅で地場野菜や特産品を見たりすることが本当に楽しくて。特に興味深いのは、それぞれの土地の気候風土がそこに暮らす人々の体調を自然に整える食材を生み出していることです。薬膳は、身近なもので体調を整える知恵ですが、地方に行くとその考えが自然に実践されていることをより顕著に感じます。

今年の2月、豪雪の秋田県に訪れたとき、囲炉裏端で郷土のお鍋料理をいただきました。東北のお鍋には「しょっつる」という発酵調味料をふんだんに使います。その発酵の力なのか、お鍋を食べているそばから、体の芯からポカポカと温まってきて、心にもじわりと沁みてきました。寒い季節に行ったからこそ、厳しい冬が訪れる北国の恵を体感できた気がします。

一方、温暖な奄美大島に訪れたときは、木になっているグアバを採って食べました。食べたそばから、喉の渇きが取れて、さーっと汗が引いたんですよ。その時も、気候風土と食べ物が密接につながっていることを実感しましたね。

東北の厳しい冬、奄美大島の暑い夏と、あえて気候が厳しい時期に旅をしています。なぜなら、その方が土地の気候風土と食材の結びつきがより鮮明にわかり、「つながった!」と感じる時の感動も大きいからです。

山登りで自然を感じる貴重な時間、たっぷりの睡眠で元気をチャージ!

―普段、リフレッシュはどのようにされていますか?

赤堀:最近は山登りです。山に登るときは、スマートフォンを見る時間も減り、デジタルデトックスになります。山の中で木々がこすれる音、鳥の鳴き声を感じると体内が浄化されるよう。頂上へ辿り着くと達成感があり、とっても気持ちがいいんです! 特にお気に入りなのが、奈良の大和葛城山。山道に変化があって、登るほどにワクワクするんですよ。帰りはロープウェイに乗りますが、今の季節はツツジがお迎えしてくれてハッピーな気持ちになります。

“頂上ごはん”と称して、山の上で薬膳的なごはんを作ってSNSで発信もしています。5月のおすすめレシピは、さばのトマト煮と豆ごはん。トマトは紫外線予防できるし、さばには血液サラサラ効果があります。また、湿気が多いこの時期、体内の余分な水分を排出する効果がある豆はとてもいいんですよ。

―健康のためにしていることは?

赤堀:睡眠時間をしっかり取ることです。イベントへの登壇など大きなお仕事がある前日は、22時には就寝するようにしています。寝不足だと頭がうまく動かず、話すこともスムーズにできませんから。質の高い睡眠は、心身の修復に不可欠です。

「なかなか寝つけない」というお悩みもよく耳にしますが、そんな場合は、アサリやシジミなど、殻つきの貝を食べるといいですよ。貝の殻は不眠改善の薬効があり、鎮静作用をもたらします。また貝の身には血液を増やす力があります。血が十分満たされるとぐっすりと眠れます。夕食に、お味噌汁や酒蒸し、ボンゴレスパゲッティなどを取り入れてはいかがでしょう?