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不調やお悩みを解決する薬膳の知恵を伝授!・赤堀真澄さんインタビュー!<後編>

薬膳のプロフェッショナルとして活躍中の赤堀 真澄さん。前編では、旅や山登りなどチルなひとときについて熱く語ってくださいました。後編では、すぐに使える薬膳の知識を詳しくお届けします。

<profile> 赤堀 真澄さん

幼い頃からの不調を薬膳で改善したことで、薬膳を自らの道に選ぶ。香港で学んだ本場の中医学を基に、実践しやすい食のセルフケアで体質改善のサポートを届ける。一般社団法人日本食医食美研究会の代表理事や国際薬膳学院の学院長、和学薬膳®協会の理事長も務め、大学などでも指導。国際中医師、和学薬膳®博士、唎酒師と、数々の資格も保持。

薬膳は、体の不調だけではなくお悩み解決して心も元気にしてくれる!

―「疲れたとき」「イライラするとき」「浮き沈みが激しいとき」などに合わせた薬膳の取り方を教えてください。

赤堀:疲れたときは、長芋やオクラなどのぬるっとした野菜、そしてウナギやアナゴ、ハモがおすすめ。長くて粘り気があるものは一気に疲労回復できます。最近はコンビニにオクラやなめこが入ったサラダもあるので手軽で取り入れやすいですよね。

イライラするときはいい香りを楽しみましょう。ハーブティーやフラワー入りのお茶はおすすめ。コンビニのペットボトルのジャスミンティーでもいいです。セロリや春菊など香味野菜、レモンやオレンジなど柑橘系もスッキリするはず。これからの季節、スダチやカボスをお料理に使ってみては?

気分が浮き沈みするときは、鶏肉を食べましょう。薬膳では“気”の向きを重視します。イライラしているときは気を下げる、落ち込んでいるときは気を上げると考えるんですよ。鶏肉は、気の向きを上げてくれる食材です。気分の浮き沈みが激しいとき、外食時には鶏肉を使ったものを選ぶといいですよ。コンビニの蒸し鶏やささみサラダ、サラダチキンでも充分です。

――薬膳って、心にも効くんですか? 例えば、人間関係に悩んでいる時ってどうすればいいでしょう?

赤堀:東洋医学の軸となる陰陽の思想は、人間に対しても当てはめることができます。人にも食べ物にも、「陽」の側面と、同じだけの「陰」があると考えるんです。例えば、才能に優れた人にも人知れず苦労があったり、自分に不利益を与えてくる人が身内には温かい心を向けていたりということがあるんですよね。

人生がうまくいかず、人を羨ましく思ってしまうこともあるでしょう。でもその人に見えない苦労や困難がきっとあるのです。そう考えると、いいことも悪いことも等しく起こるとわかります。そして、今は悪い時期だからそのうち終わると考えられるはずです。陰陽は等価交換という考えのもと、良いことも悪いことも等しく起こるという考え方を教えてくれます。これを知っておくと、誰にでも優しくなれますよ。

誰かの幸せを尊く思う毎日。今後は旅の記録や想いを本にしたい!

――「幸せ!」と感じるときって?

赤堀:やはり薬膳を教えた方が、がんを卒業できたなど、体の不調を改善できたと聞くと幸せを感じますね。コロナ禍のとき、「先生、私、薬膳のおかげで家族を守れます」と言ってくれた生徒さんがいて、力になれたとやりがいを感じました。また、「同窓会に行ったときに、すごく若々しいと褒められました。きっと薬膳のおかげ」なんて聞くとさらに嬉しいです。

あと、美味しい食べ物とお酒をいただくときは至福の時間。実はお酒も大好きなんです、私(笑)。唎酒師の資格も持っていますから、薬膳の視点からお酒とおつまみのバランスを考えて、楽しんでいます。

――今後、挑戦したいことはありますか?

赤堀:全国各地の旅で、さまざまな食材や郷土料理に出会ってきました。同時に、地元の方の想いを色々とお聞きします。例えば、おばあちゃんから伝統の食を受け継いで加工品を作る人だったり、伝統工芸を続けていたり。そうした出会いから感じたことについて、誰かに伝えていくため、1冊の本にまとめてみたいなと思っています。

<取材を終えて>
さまざまな問いに、柔らかな大阪弁を交え、はつらつと答えてくれた赤堀さん。教えてくださった薬膳はどれも明日から実践できるもので、「美味しそう」「食べてみたい!」と思えました。また、チルなひとときの山登りについて話すときは目がキラキラ! チャレンジし続ける赤堀さんから、もっともっと薬膳を教わりたいと思ってしまいました。