街と芸人～さらば青春の光～ #4「思い入れのある東京の街」

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梅雨を楽しむ June 2025

街は心の健康を支える≒ウェルビーイングな存在…。
『街』を中心に、芸人さんの普段見られない素顔に迫るインタビュー企画『街と芸人』。

今回も、お二人にとって縁の深い五反田の街についてのエピソードからスタートです。2013年に上京し、コンビ生活は東京での時間のほうが長いお二人。それでも、東京という街は特別な存在のようです。お二人にとって、ウェルチルな時間をもたらしてくれるという、とある場所についても語ってくださいました。

さらば青春の光：
森田哲矢と東ブクロによるお笑いコンビ。2006年に松竹芸能養成所で出会ったふたりが2008年8月にコンビを組んだ。2012年「キングオブコント」準優勝、2016年「M-1グランプリ」ファイナリストなど多くの賞レースにて実績を残す。2013年10月、個人事務所「ザ・森東」を設立し独立。テレビ、ラジオ、YouTubeなど、連日多数のメディアに出演し人気を博している。

繁華街の賑やかさと人情味、豊かな自然を兼ね揃えた、愛すべき街

--お二人にとって、思い入れのある五反田のスポットを教えてください。

森田：
やっぱり前の事務所かな。僕が一人暮らししていたアパートを、そのまま事務所として登記しただけなんで、実質自宅なんですけどね。合コン終わりの飲み会とかも僕の家でしてたんで、いろんな伝説が生まれた部屋でもありました（笑）。

定食屋さんの上の階にある部屋を借りたんですけど、住んでいるのは僕と、その定食屋の息子さんしかいなかったんです。その息子さんはちょっとズボラで、全然朝起きられへんくて。壁も薄いから、早朝の仕込みの時間になると下の階から定食屋のおばちゃんが階段をバタバタ上がってくるのが聞こえてきて、そのあとものすごい物音が聞こえてきたんです。覗き穴から見たら、おばちゃんが息子さんの部屋のドアをトンカチでガンガン叩いて、「早く起きろ！！」って……（笑）。何してんねんとは思いましたけど、五反田らしい下町情緒というか、街の人のリアルを感じられて、楽しい日々ですね。

東ブクロ：
僕はというと、実は五反田にはネタ合わせや打ち合わせでしか来ることがなかったんですよ。とはいえ、事務所も五反田やし、なんだかんだで足を運ぶ機会は多かった。「ザ・森東」＝五反田、のようなイメージが定着しだして、「このまま拠点を移す気はないんや」って悟って（笑）。

五反田って、街全体の雰囲気も大阪となんとなく似てる気がするんですよ。おしゃれすぎないし、賑やかだし。目黒川も流れていて、公園もあって、意外に自然も豊かですよね。春には桜も綺麗なんですよ。おしゃれな若者は目黒のほうに行くけど、五反田側は人も少ないので穴場だと思います。

森田：
事務所からも見えるもんな。2023年からは僕らの事務所も「五反田桜祭り」に特別協力させていただいてて、五反田グルメの屋台やいろんなブースの出店など、お花見シーズンを盛り上げるイベントも開催されているんですよ。

レインボーブリッジから望む東京タワーは、いつまでも特別な存在

--上京して12年。これまでの時間を振り返って、胸が熱くなったりする瞬間などはありますか？

東ブクロ：
胸が熱くなる瞬間なのかはわからないんですけど、よく仕事と仕事の合間に寄る、「ステーキハウスリベラ」っていうステーキ屋さんがあるんですよ。五反田の他に学芸大のあたりにも店舗があって、昔から営業しているような、割と大衆的で美味しいお店なんですけど。食べに行くと、4000〜5000円くらいは払ってるかな。それくらいのお店に、定期的に足を運べるようになったのを考えると、「芸人としてここまで大きくなったのかな」と思ったりしますね。

あとは、いまだに「俺、東京にいるんやな」って実感するのは、お台場方面からレインボーブリッジを渡って帰ってくるとき。右手にスカイツリーと東京タワーを同時に見れるポイントがあるんですよ。その先に芝浦のタワマン群が連なってて、夜走っていると、そこに吸い込まれていく感覚になる瞬間があって。未だにあの感覚は特別感がありますね。

森田：
わかる。特に東京タワーって不思議な魅力があるんですよね。あの灯りに惹き込まれるというか、掻き立てられるというか。こっちに来てもう長いですけど、いまだに横を通るときは見入ってしまいますもん。

僕の場合、お台場からの帰り道、収録でその日ウケたかスベったかで見え方が全然違ってきますね。スベった日は「こんちくしょう！！」って思うし、ウケた日は心に余裕を持って美しさを堪能できるし。あの景色に励まされたり、火を付けられたり、日によってほんまに表情が変わるなと思います。なるべくなら、どんなときでも穏やかに、いい精神状態で眺めたいとは思いますね（笑）。