書道家として活躍中の禧虹さん。前編では、日本の伝統文化への興味、家族との大切なリフレッシュ時間についてお聞きしました。後編では書についての想いや夢について、お話しいただいています。
書を通じて誰かを喜ばせられる瞬間に至福を感じて
―幸せ時間って、どんなときですか?
禧虹:書道のお稽古で、生徒さんが難しいことにチャレンジしてできるようになって、嬉しそうにされる表情を拝見できたときですね。お子様から大人の方まで幅広く指導していますが、皆さん「できた!」と達成感が得られるといいお顔を見せてくれるんですよ。こちらまで、心が温かくなります。
また、書の作品をお客様にお渡ししたとき、感動して涙を流される方もいて、しみじみと心に湧き上がるものがあります。今まで自分が積み重ねてきたことが無駄じゃなかったとホッとします。誰かを喜ばせることができた瞬間は、最高に幸せです。
一日一回は筆を持つ、禧虹流・心の整え方
―教える時や作品制作以外でも、書に向き合うことはありますか?
禧虹: 忙しくても、一日一回は筆を持つようにしています。自分のための時間なので、きれいに書くことを意識しすぎず、書に向き合っています。そのときに欠かせないのが、音楽です。いつも好きな曲を聴きながらリラックスして書いています。
これまでは、書く字を決めてから音楽を選んでいたんですが、最近は音楽からインスピレーションを得てから書くことが増えました。街中でもいろいろな音楽を耳にするので、「あ、この曲にはあの字かな」と考えることもあります。
―それは面白いですね。最近はどんな曲に合わせて書いたのでしょうか? また、好きな文字や言葉は?
禧虹: 美空ひばりさんの「愛燦燦」が大好きで、それに合わせてひらめいた文字を崩しつつ書いていきました。どうやって曲のイメージに合わせるかを考える時間も楽しいですし、心のメンテナンスにもつながっています。
好きな言葉は、自身のSNSにも書を載せた「桜梅桃李」。桜は桜、梅は梅。開花する時期はみんなそれぞれだから、自分らしさが一番出る時期が違うという意味です。この言葉には励まされますね。
海外の方へ日本の美しさを書で届けたい…。夢は大きく広がって
―今後の目標や夢を教えてください。
禧虹: 書道講師のほか、書道アーティストとしてのライブパフォーマンスなど、さまざまなチャレンジをしています。今後ますます活動に力を入れ、多くの方に禧虹を知っていただき、海外にも進出したいです。海外の方に日本の美しさを書道で表現し、感動をお届けできたら…と。そのために、SNSの発信に力を入れつつ、インバウンド向けの書道体験教室も実施しようと計画中です。
もちろん日本人の方も、今一度、書道に興味を持っていただいてチャレンジしてもらえたら嬉しいです。
<取材を終えて>
書を通じて、心を整え、夢に向かう禧虹さん。SNSで公開されている、音楽に合わせて筆を動かす禧虹さんの姿は神々しささえ感じられました。日本の伝統美である書道。禧虹さんのまろやかな書が世界で愛される日もきっと近いのではないでしょうか。
<profile> 禧虹(きこう)
日本習字教育財団所属。奈良県出身で、6歳から書道を始め 高校で書芸科を専攻。中国北京で深く書を学ぶ。保育士勤務を経て結婚出産。子育てをしながら最高位の教授資格を取得。2020年大阪市北区にて日本習字教育財団所属 禧虹(きこう)習字教室を開講。現在4児の母としても育児奮闘中。
日本習字漢字部 教授 / 日本習字ペン部 教授 / 文部科学省後援日本毛筆書写検定二級 / 賞状書士資格 / 保育士資格