未来のことを案ずるより「自分が今、どう感じるか」を指針にしている安藤さん。彼女の原動力となる家族の絆についても、お話してくださいました。安藤さんが娘さんに対して「尊敬している」と語るエピソードも。
無理をしない。ココロとカラダのバランスの保ち方
ーー日々のコンディションを整えるために意識していることは?
以前より運動量が減っているので、意識的に家でカラダを動かすようにしています。
そして、「お肌の調子を整えるためにも水分を摂取することは大切だ」とメイクさんからアドバイスされたので、意識的に水分を摂るようにしています。最近ではルイボスティーをよく飲んでいます。
現役の頃、リンクでドリンクをたくさん飲む選手がいたのですが、逆に私にはその習慣がなく、ドリンクを飲むことが苦痛だったんです。無人島から脱出するときのロケでは、あまりドリンクを飲まないという習慣はとても役に立ちましたが(笑)
年齢を重ねていく上で、体を労りながらしっかりと自分の体と向き合っていきたいなと思っています。
ーー「コンディションが崩れているな」と感じる時はいつですか?
同年代のお母さんと比べて、体力はある方だと思います。
ただ元々、偏頭痛持ちなので、体調がすぐれないなというのはすぐにわかります。
ちょっと体がだるいなと思ったら、少し体を動かすようにしています。
そうすると、不思議と元気になるんですよ。
ーー現役時代、体調が悪い時はどうされていましたか?
昔はどんなにコンディションが悪くても、発熱さえしていなければ、練習や試合には出なければいけませんでした。一方でアメリカでは「体調がすぐれない時には無理をせずセルフケアに注力し、すっきりした時にいい練習しましょう」という考え方でした。その後、日本もそのような指導方針に変わり、健康面での無理をすることがなくなり、心と体がバランスが取れて、いい練習ができたという気づきがありました。
ーー試合の結果にはこだわっていましたか?
あまり結果にこだわるタイプではなく、「コーチになりたい」という夢があって、その思いをきっかけにフィギュアスケートの世界に入りました。当初はオリンピックに出場したいという夢もなく、金メダルが欲しいという強い思いがある選手でもなかったです。結果よりも「自分の演技ができなかった」ことの方が、悔しくて落ち込むことはありました。人に負けたことで悔しいと思ったことは一度もありません。
9歳の時に突然父を亡くしました。自分が成人を迎えるまでは当たり前にそばにいてくれる存在だと思っていましたが、なんの前触れもなく大好きな父がいなくなってしまった経験から、「自分に何が起こるかわからない。」と思うようになりました。遠い未来のことを考えるよりは、「一日一日を大事に生きていきたい」という気持ちが強いので、現役時代、記者の方から「4年後のオリンピック」についての質問を受けた時『考えていません』というお答えをしたところ、反感を買ってしまったこともありました。
信頼のおける人たちと築く関係性がメンタルヘルスにつながる
ーー昔と今で価値観が変わったことはありますか?
「人を信じてお付き合いしなさい」という教えのもとに育ちました。高校生の時人を信じたことによって、傷ついた経験があります。それがターニングポイントになり、無条件に人を信じるのではなく、「安藤美姫という1人の人間として信頼してくれる人」とだけお付き合いしていくことが大切だなと今では思っています。
友達は多い方ではないです。でも、「私の友人」=「なんでも話せる人」で、誰にでも紹介できる自慢の人たちです。
ーー悩み事やモチベーションが下がることはありますか?
あまりモチベーションが下がることはないんですが、自分が考え事や悩み事を抱えていても、お仕事中はそれを表に出さず、切り替えています。
安藤さんを支えた『家族というチーム』
ーー娘さんが成長された今、子育ても少し楽になりましたか?
娘が小さい時は体調悪くても母として頑張らなければならない部分はありましたが、
娘も今は中学生になり、「ママ、私1人でできるよ」と言ってくれる時もあります。
「現役の時は1人でなんでもしなければ!」と思っていましたが、現在は母も一緒に娘のケアをしてくれていて、
家族がいることで、少し甘えることができるようになりました。
母がしんどい時には、私が母をケアしていますし、持ちつ持たれつのいい関係性を築いています。
私は幼い頃、母方の祖母や親戚と一緒に暮らしており、大家族の中で育ちました。
東京では、核家族の方が多く、子どもを預けられないという悩みもあると思いますが、私の場合は協力したり、家族に甘えることにはあまり抵抗がないので、今日も母に子どもをみてもらって仕事に来ています。
母も、私も、娘も個性が強いのですが、特に母は”現役の母ちゃん”という感じでとても芯を持った強い女性です!娘に対しても甘やかすだけの接し方ではないので安心して母に娘を預けています。今は家族というチームで頑張っているという感じですかね。
娘に感謝をしています。
人との付き合い方がうまくなく、一匹狼のような生活をしていた私は、娘のコミュニケーション能力の高さに驚かされています。
誰にでも笑顔で挨拶できて、娘としてだけでなく、一人の人間として見ても、自分にないところを持ち合わせている娘だと思っています。
娘に出会えて、私は本当に幸せです。性格の面でも、娘を尊敬しているところがあります。
ママ友と話せるきっかけをくれたこと、場の空気を変えてくれる娘は私にとってかけがえのない、尊い存在です。
フィギュアスケーターの安藤美姫の娘ということで世間から見られることは仕方ないですが、私たちの間では普通の親子。その関係性を娘のために守ってあげたいし、大切にしたいと思っています。
失敗した時は”成長へ一歩踏み出せた自分を褒める”
ーー新しいことにチャレンジしたいと思っている読者に向けてメッセージをお願いします。
うまくいかなかったことを考えたり、年齢のこと、子育てのことなど今置かれている状況を理由にはじめの一歩が踏み出せない人がいると思いますが、「本当にやりたいこと」が見つかったのであれば、まずは挑戦して欲しいなと思います。
挑戦できない理由を打開するやり方は絶対あると思います。とにかく”悔い”が残らない選択をして欲しいと思います。失敗してもネガティブに捉えるのではなく、「糧・学び・次へのステップアップ」になるとポジティブに捉えて欲しいです。
安藤美姫
プロフィギュアスケーター
第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)」及び「第5回アジアパラ競技大会(2026/愛知・名古屋)」「愛知・名古屋2026応援サポーター」
2002年ISU公式大会であるジュニアグランプリファイナルにおいて、女子選手史上初の4回転サルコウを成功。
2006年トリノオリンピック、2010バンクーバーオリンピック出場。
2007年2011年世界選手権優勝 等の戦績を残す、プロフィギュアスケーター。
現在はプロフィギュアスケーターとして国内のみならず海外のアイスショーやスケート教室などに参加し後進の指導にも積極的に参加する他、テレビ、雑誌などのメディアでも多彩に活躍。(福)日本介助犬協会 介助犬サポート大使、スペシャルオリンピックスドリームサポーター、自身の復興プロジェクトReborn-Garden等 社会貢献活動にも積極的に参加している。2017年、江原道観光大使として平昌オリンピックのサポートも務め2021年からアスリートの社会貢献を推進する日本財団プロジェクトHEROsアンバサダーに就任と幅を広げて活動している。
取材を終えて
家族との温かい関係性の中で、安藤さんが心地よく生活されている様子が垣間見え、とっても温かい気持ちになりました。取材中に「娘のコミュ力の高さは私にないところで、娘のことを尊敬しているんです」と話す安藤さんの柔らかい眼差しがとても印象的でした。
この機会に、お子さんの尊敬できる一面を探してみてはいかがでしょうか?
まとめ
・コンディション維持のために大切にしている「体を動かすこと」と「水分補給」
・現役時代に感じた、コンディション管理と試合への向き合い方
・安藤美姫さんを支える家族や友人の存在
・娘さんとの関係性や、尊敬している一面について