タレントとして活躍しながら、3人のお子さんを育てる藤本美貴さんに、心身ともにヘルシーで幸せな子育てについて伺う「藤本美貴のウェルネス子育て」。第4回目は、『家族とのコミュニケーションを深める工夫』をテーマにお話を伺いました。
家族と一緒に過ごす時間は長いはずなのに、ふと気づくと会話が減っている……。思春期を迎えた子どもとの距離感に悩んだり、コミュニケーションが難しいと感じる瞬間もあるのではないでしょうか。
中学生、小学生、幼稚園児と成長段階の異なるお子さんを育てている藤本さんが、どのように家族の絆を深めているのか。家族間のコミュニケーションにおける工夫についてお聞きしました。
藤本美貴:
1985年2月26日生まれ。ソロアイドルとしてデビュー。2009年にお笑いコンビ品川庄司の庄司智春さんと結婚。3児の母として子育てをしながら、バラエティ番組の多数出演や自身のYouTube『ハロー!ミキティ / 藤本美貴』での自然体な姿が人気を集めている。2024年9月3日に『ミキティ語録 前しか見ない』(CCCメディアハウス)が発売。
思春期の子どもとの会話はさりげなく、表情や声のトーンを意識して見る
───3人のお子さんは4歳差、全員違う学校に通われており、それぞれに合ったコミュニケーションが必要なこともあるのではないかと思います。普段から、何か心掛けていることはありますか?
自発的にコミュニケーションを変えている意識はないのですが、子どもの成長とともに自然と変化してきてはいるのかなと思います。
例えば中学1年生の長男は、小さい頃は割となんでも話してくれていたけれど、思春期が近づくにつれて学校の様子もあまり話さなくなりました。「今日、学校どうだった?」と直接的に聞いても答えてくれないし、なんとか聞き出そうと捕まえたら余計に嫌がられる。なので、さらりとしたやり取りに留めるようにはしているかもしれません。なんだか様子がおかしいなと思っても、慌てず外堀からじわじわ固めていく、という感じでしょうか(笑)。
───確かに中学生となると、それまで通りのやり取りも難しくなっていきそうですね。
友人との時間やゲームなど、自分の世界がどんどん広がっていく年頃なので、親との会話が面倒に感じるのも理解できます。だからこそ、直接話す時間が減った分、声のトーンや表情などの微妙な変化を、以前よりも意識して見るようになりましたね。
心配事があっても、まず子どもの気持ちを確認してから行動する
───万が一、学校で何かトラブルが起こっているとわかったら、藤本さんはどのように対応されますか?
「なんでうちの子が……!」とイライラしたり、心配になったりすると思うんですが、感情に任せてなりふり構わず行動するのは違うかなと。親の言動は想像以上に子どもに影響しますし、変に動けばさらに問題を大きくしてしまうこともある。そうならないように、まずは子どもに「ママからお友達や学校に、話をしようか?」と聞いちゃってます。
───どうしてほしいか、お子さんの気持ちを確認するのですね。
良かれと思っても、子どもに内緒で動くようなことはしません。それが子どもにとって必要なことなのかは、本人に聞いて確かめるんです。何もしなくていいと言われれば、「何かあったら絶対助けるから、いつでもママに言ってね」と伝えて見守りますね。
もちろん守ってあげたい気持ちはあるけれど、子どもには子どもの世界があって、家族と一緒に過ごすときとは別の姿がある。そこに親が強引に割り入ってしまうと、子どもたちの心地よさを壊してしまいかねないと思うんです。
以前学校に手紙を書いたときも、渡す前に子どもの前で内容を読んで説明しました。「先生にこんなお手紙を書いたんだけど、こういうことを伝えるためだよ。あなたのことを何か書いているわけじゃないから、安心して渡してね」って。子どもは子どもなりに、先生やお友達との関係に向き合っているはずだから、まずは子どもたちの気持ちを尊重して見守ることも大切なのかなと思います。
夫婦で個性が違うからこそ、バランスのいいコミュニケーションが取れる
───夫の庄司智春さんとも、日頃から子育てについてよく話をされているのでしょうか?
もちろん!子どもたちを寝かしつけたあと、2人で飲み物を飲みながら、子どもたちの様子を話し合うのが日課なんです。話が盛り上がって、気づいたら深夜2時を回っていた、なんてこともしょっちゅうあります。
「もう何年も、夫と子どもの話しかしていない……」なんて悩みをたまに聞くんですが、私は全然悩む必要ないと思います。子どもがいる生活をしているんだから、子どもの話が増えるのはごく自然なことだと思うので。
───お子さんのいるご夫婦にとって、子育てはお互い最も関心を持つ話題になりやすいですよね。庄司さんとの会話のなかで、何か印象に残っている言葉はありますか?
会話ではないのですが、子どもがお友達と喧嘩したときに、庄司さんがかけた言葉ですごく心に残ったものがあって。私は話を聞いて頭にきちゃって、もうそんな人と遊ばなくていい!って思っちゃったんですよ(笑)。でも庄司さんは、「もし今、そのお友達と話したくないならそれでもいい。でも別に、この先もずっと遊ばないと、今決める必要はないんだよ。しばらくしてまた遊びたくなったら遊べばいいし、どっちでもいいんだよ」って、そう伝えてくれて。なんて素敵な考え方なんだろうと思いましたね。
私は0か100かで考えるタイプだけど、夫はいろいろな可能性を考えられるタイプ。親の言葉の影響力って、子どもにとってはすごく大きいものだと思うので、それぞれが違う寄り添い方で子どもたちとかかわりながら、バランスを取るのも大切なのかなと思います。
───庄司さんともお子さんとも、会話をとても大切にされているのが伝わります。
普段から、家族の会話はすごく多いんです。家の中では誰かがずっと喋っていて、うるさいくらいかも(笑)。でもそれだけ、家族みんなが同じ場所に集まっている時間が長いんだと思うと、理想的な環境ができているのかなと感じます。
実際、家を建てるときにあえて子供部屋は小さく作ったり、子どもたちの部屋にはテレビを置かないようにしたりと工夫したポイントはありました。みんなが自然とリビングに集まって家族一緒に過ごす時間を作りたいと思っていたので、理想通りの家になっているのかなと。
藤本美貴さん 新刊のご案内
タイトル:「ミキティ語録 前しか見ない」
定価:1500円+税 仕様:四六判・並製
頁数:232頁 ISBN:978-4-484-22116-8
2024年9月3日発売予定 CCCメディアハウス刊
ヘア&メイク/太田年哉(maroonbrand) スタイリスト/JURIKA.A 取材・執筆/神田佳恵