「Garmin」のスマートウォッチは、健康管理やアクティビティ、トレーニングなど多くの場面で活躍しています。今回は、新作ウェルネスGPSウォッチ「vívoactive 6」について、ガーミンジャパン株式会社 山根正大様と谷口朋子様にお話を伺いました。
質の良い睡眠は「自分を知ること」から。計測技術を活かしたスマートウォッチ
——「Garmin」についてお聞かせください。
谷口 米国カンザス州でGPS端末の機器メーカーとして創業し、現在は日本を含む35カ国で事業を展開しています。GPSナビゲーションや位置情報の測位技術、ワイヤレス機器、アプリケーションなど、ハードウェアとソフトウェアの両面で製品を開発・提供。航空、船舶、自動車業界のトップブランドとしてBtoB向けの事業を展開しつつ、GPSをはじめとした計測技術を活かしてBtoC向けにスマートウォッチを販売しています。
——「Garmin」のスマートウォッチには、どのようなものがありますか?
谷口 スマートウォッチのラインナップとしては、Garminの先進技術が集結したフラッグシップの「fenix」シリーズ、アウトドアやアーバンスポーツ向けのタフネスGPSウォッチ「Instinct」シリーズ、世界中のランナーに支持されているランニングGPSウォッチ「Forerunner」シリーズなどがあります。「vívoactive」シリーズは、日常の健康的なライフスタイルをサポートする「ウェルネスGPSウォッチ」の位置付けとして展開しています。
「vívoactive」シリーズ最新モデルの「vívoactive 6」
——「vívoactive」シリーズと他シリーズとの違いを教えてください。
山根 「vívoactive」シリーズのコンセプトは、「私をとことん知る」。「健康管理は自己理解からスタートする」考えのもと、健康に関する基本的なライフログ機能が充実したモデルとなっています。最新モデルは、「vívoactive 6」です。前モデルの「vívoactive 5」は、初めてスマートウォッチを使う人に向けて「まずは健康状態の可視化を目指す」ことを目的に開発しました。「vívoactive 6」は前モデルよりもアップグレードし、おすすめのワークアウト(ウォーキング)などの、提案力と睡眠に関する機能が大幅に向上しています。SNSでは、「ガーミン先生」と呼ぶ人も見られます。
心拍データをもとに睡眠の質をスコア化!翌日の必要な睡眠時間をアドバイス
——睡眠管理において、「vívoactive 6」はどのような活躍が期待できるのでしょうか?
山根 「vívoactive 6」には、自動的に睡眠をモニタリングする「睡眠コーチ」機能を搭載しています。スマートウォッチを装着して就寝すると、その晩の「睡眠の質がどうだったのか」を「睡眠スコア」として100点満点で採点。さらに計測データをもとに分析され、睡眠スコアを改善するために必要な睡眠時間やアドバイスをしてくれます。成人における適性睡眠時間は、平均7時間とされています。例えば睡眠時間が5時間だった場合、「今日は少し長めに休みましょう」といったアドバイスが表示されます。
「お昼寝検出」機能により、就寝時だけでなく昼寝も自動的に計測できます。計測データは、体のエネルギー残量を表す「Body Battery」に反映されます。ゲームで例えるなら、宿屋で休むとHPが回復するイメージです。昼寝をした日は、睡眠コーチが「今日はお昼寝をしたので6時間の睡眠で十分です」といった提案もしてくれます。
谷口 「vívoactive 6」からは、「スマート起床アラーム」機能が追加されました。スマート起床アラーム機能とは、睡眠サイクルを分析し、起床時刻の30分前から目覚めに最適なタイミングで起床を促す機能です。眠りの浅いタイミングで起こしてくれるので、スムーズな目覚めが期待できます。
——「Body Battery」とは、どのような機能ですか?
山根 「Body Battery」とは、心拍データで睡眠や前日のアクティビティ、ストレスなどを計算し、「カラダのバッテリー残量」を100点満点で数値化する機能です。身体的エネルギーの残量が一目で分かります。
——ストレスを感じているかどうかも、心拍データで分かるのですか?
山根 はい、ストレスと心拍は関連性が高いと言われています。一昨年、私はアメリカへ出張に行きました。帰国後、普段なら睡眠を取れば最低でも30ポイントまで回復する「Body Battery」が、その日は5時間寝ても低い数値のままでした。滅多にないことでしたので調べたところ、体調を崩していると判明。体調不良により「睡眠中にしっかりと休めていない」「体にストレスがかかっている」などの状態が続くと、「Body Battery」の回復が遅れてしまうと実感しました。「vívoactive 6」が継続的に心拍をモニタリングしているので、体調の変化にすぐ気付けます。
「良質な睡眠と適度な運動は幸福度を向上させる」。教育機関との共同研究で明らかに
——睡眠の質がウェルビーイングに影響を与えるとも言われています。製品開発においても「睡眠の質の向上」は意識されているのですか?
谷口 しています。「Garmin」ではヘルスケア事業やソリューションをサポートする「Garmin Health(ガーミンヘルス)」というプロジェクトを行なっています。弊社の製品や技術を活用して、社会貢献を行うプロジェクトです。ガーミンヘルスでは外部機関と共同研究を多く実施しています。2025年3月には、オックスフォード大学とハーバード大学との共同研究で、「良質な睡眠と適度な運動が幸福度の向上につながる」といった研究の初期結果を発表しました。ガーミンヘルスも含めて、弊社ではウェルビーイングの分野における取り組みを進めています。
——ウェルビーイングの向上において、「vívoactive 6」はどのような役割を担えると思いますか?
山根 「自分を知る」ためのツールです。「vívoactive」シリーズのコンセプトにもありますが、健康管理において、まず「自分の体はどうなんだろう」と自身に問いかけることから始めてほしいと考えています。「vívoactive 6」で自分の体や睡眠の状態を知り、「ガーミン先生」を通じてライフスタイルに応じた生活改善につなげてほしいです。
谷口 「vívoactive 6」に限らず、「Garmin」のスマートウォッチは全シリーズがウェルビーイングの向上につながると思います。睡眠機能やライフログ機能など、健康管理に必要な機能は基本的にどのシリーズにも搭載されています。スポーツでのストレス解消やライフスタイルを豊かにすることが心身の健康につながるなら、「vívoactive 6」以外の製品もウェルビーイングの向上に貢献できるはずです。
——「ウェルチル」の読者にメッセージをお願いします。
山根 質の高い睡眠の確保と健康管理では、自分を知ることが大切です。自分を知るにはデータが欠かせません。「Garmin」には、創業以来、積み上げてきたGPS技術と心拍データがあります。世界中の人々の心拍を見続けてきた「Garmin」だからこそ、できる提案があります。当社のデバイスで体の正確なデータを取得し、自分自身を知ることから健康管理を始めてみてください。
取材・文:宅野 美穂