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アルピー平子のロマンチック哲学#8「平子流・未来の見つめ方」

お笑いコンビ「アルコ&ピース」平子さんに、心地よく幸せな人生を歩むための哲学を教えていただく連載企画『アルピー平子のロマンチック哲学』。第8回目のテーマは、「平子流・未来の見つめ方」です。

奥様やご家族への深い愛情や仕事への情熱、お金に対する考え方など、幅広いテーマでお話を伺ってきた本連載も、いよいよ今日で最終回。今回は、平子さんの今後の目標や社会に対して感じること、ウェルビーイングな生き方についてお聞きしました。誰しもが求める、心も身体もヘルシーな人生。心の奥底に眠っている声に耳を傾けるように、熱く純粋な平子さんの哲学に触れてみてください。
平子祐希:
1978年12月4日、福島県いわき市出身。お笑いコンビ「アルコ&ピース」のボケ担当。2012年「THE MANZAI」で3位入賞を飾り、バラエティ番組やラジオMC、俳優業でも活躍。相方は酒井健太さん。類稀なる愛妻家としても知られており、2020年には妻・真由美さんへの愛や結婚観を綴った自身初の著書『今日も嫁を口説こうか』(扶桑社)を出版している。
平子祐希

お金はたくさん稼ぎたい。その背景にある想い

将来の夢でいうと、めちゃくちゃ大金持ちになりたい(笑)。たくさんお金を稼いで、家族に不自由ない生活をさせてあげたいです。そのうえで、プラスアルファの余裕ができるくらいの稼ぎを作って、残りは社会をよりよくするために使っていきたいんですよ。

これは利他的な動機というより、僕のナルシシズムな欲求ではあるんですけど。著書『今日も嫁を口説こうか』の収益金は、全額寄付に回すようにしているんです。本を出したとき、どことなく後ろめたい気持ちがあったんですよ。自分の家族の話や愛情について書いて、それをファンの方に買っていただいてお金を得ると想像したときに、ものすごい違和感を感じてしまったんです。「愛について説いておいて、その金で美味いもん食うのか」って……。悪だとは言わないけれど、僕自身にはしっくりこないというか。

微々たる金額ですし、正しい動機なのかはわからないけれど、本の収益を人のために使うようになってから、胸につかえていたものがストンと落ちていった気がして。僕自身の社会的な存在意義も見出せたような気がしています。
平子祐希

人生100年時代、余生は家族と穏やかな幸せを味わって暮らしたい

人生100年時代という話もよく聞くようになりました。もし僕が100歳まで生きるとしたら、余生は奥さんと国内外をゆったり旅行したり、一緒に家事をしたり、ふたりで穏やかな幸せを味わいながら暮らしたいです。今は僕の仕事も忙しく、なかなかそうした時間が取れていないから……やっぱり奥さんの話になっちゃいますね(笑)。

僕と結婚する前、奥さんにはお見合いの予定があったそうなんですよ。ちゃんとした企業に勤めていらっしゃる方で、僕が聞いてもいい話だと思った。でも付き合っている人がいるからと、その話を彼女は断りました。下積み時代で、お金も知名度もない僕を、選んでくれたんです。

もし奥さんが僕と結婚していなかったら、享受できていた幸せがきっとあっただろうなと。今もそうですが、この先もずっとその穴埋めをしていかなければいけないと思っています。奥さんだけでなく、子どもたちにもそう。もっといろんな景色を見せてあげたいし、いろんな経験をさせてあげたい。何度も繰り返しになっちゃいますが、これに尽きるのかもしれません。

素直に愛情表現し、他者のために行動できれば、社会はもっとウェルビーイングになる

ウェルビーイングな暮らしは、夫婦間や家庭内、身近な人との関わり合いから生まれるものだと思っています。愛情や感謝を素直に伝えあったり、お互いに照れずに触れ合ったり、そうしたコミュニケーションが増えるだけで、心はうんと豊かになっていくんじゃないかな。芸人の僕がこんな話をしても、ちっともお笑いの要素はないと思うんですけど(笑)。

家族に愛情を注ぐことや、誰かを喜ばせることって咎められるべきことじゃないし、いいものは絶対的にいい。例え自己愛的な動機だったとしても、社会の役に立ちたいと思って行動するのも、やらないよりは確実に人のためになっているはずなんです。こうした行動を、誰もが素直にできる世の中になれば、きっと世界はいい方向に進んでいく。物理的な見返りがなかったとしても、精神的に満たされていくから、結果的に自分にも返ってくる。絶対回収できる投資とも言えますよね。

SNSを見ていると胸が苦しくなるような声が行き交っていて、思わず飲み込まれそうになります。元々僕は傷つきやすい性格なので、傷つかない手法をずっと模索していたんだと思います。そして最終的に行き着いたのが「人に優しく、人生を楽しく好きなものを好きでいる」というシンプルな生き方。本来人間が純粋に求めているはずの欲求のまま生きるのが、ずっと健康的なんです。人にどう思われるか、世間体がどうだとか、そんなことは気にしないでいい。誰もが恥ずかしげなく主人公のように生きていけたら、きっとこの世界はもっと幸せで満ち溢れていくって信じてるし、そうであれば嬉しいです。

取材・執筆/神田佳恵