街と芸人～さらば青春の光～ #2「上京後の思い出の街」

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街は心の健康を支える≒ウェルビーイングな存在…。
『街』を中心に、芸人さんの普段見られない素顔に迫るインタビュー企画『街と芸人』。前回に引き続き、さらば青春の光のお二人にお話をお伺いします。

第2回の今回は、大阪時代を抜け出して、上京した後の思い入れある街について。所属事務所を退所し、個人事務所「ザ・森東」を設立して拠点を東京に移した後のお二人は、どのような時間を過ごしていたのでしょうか？

さらば青春の光：
森田哲矢と東ブクロによるお笑いコンビ。2006年に松竹芸能養成所で出会ったふたりが2008年8月にコンビを組んだ。2012年「キングオブコント」準優勝、2016年「M-1グランプリ」ファイナリストなど多くの賞レースにて実績を残す。2013年10月、個人事務所「ザ・森東」を設立し独立。テレビ、ラジオ、YouTubeなど、連日多数のメディアに出演し人気を博している。

森田は五反田、東ブクロは代田橋。新天地に降り立った二人の思い出

--上京されてから住んだ街のことも、ぜひ教えてください。

森田：
2013年に松竹を退所して、東京に拠点を移すことにしました。そのタイミングで、僕らの個人事務所「ザ・森東」を立ち上げたんです。

僕は上京してからずっと五反田住まいです。もう12年くらいになりますね。大阪時代から、五反田には憧れがあったんですよ。テレビで活躍してる先輩芸人さんたちもよく五反田の話をしてて。子供心に、大人な雰囲気のかっこいい街なんやなって思ってました。

上京したてのころは、大阪時代から付き合ってた彼女と一緒に越して来て、そのまま五反田で一緒に同棲しました。ちょうどその年にTOKYO MXで「さらば青春の光ふぁいなる」というバラエティ番組が始まって、よく僕の家でも撮影してました。彼女が酒飲みなので、家の中にあった大量のビールの空き缶とかも映ったりして。「あんなん映さんといてよ！」って怒られたりしましたね。

--その後、彼女さんとは？

森田：
2年くらいして、別れました。もう少し安い家賃で住める家を五反田で探して、唯一見つけたのが定食屋の上の部屋。でもその場所が、もともとは彼女と一緒に住んでた部屋の真向かいだったんですよ。窓を開けたら、元・愛の巣が目の前にあるという（笑）。まぁもうそこしかないし、南向きやし、ここでええかと引っ越して来ました。

--東ブクロさんはどちらに住んでいらっしゃったんでしょうか？

東ブクロ：
僕は上京するまで一人暮らしをしたことがなかったんですよ。大阪時代は金もなかったし、ずっと実家住まいで。土地勘もないし、家賃とかもよくわからなかったから、ちょうど東京で実家暮らししてた女の子が一人暮らしするっていうんで、そのコの家に転がり込んでしばらくお世話になってました。そのときに住んでたのが、代田橋のあたりですね。

--当時を振り返って、何か印象に残っているエピソードなどはありますか？

東ブクロ：
上京してしばらく経ったころの話なんですけど、僕のバイクを森田が金ピカに塗りたくるっていう企画があったんですよ。めっちゃ目立つ色でしたけど、そのまま乗り続けてたんです。

通学路みたいなところにバイクを停めてたら、地元の学生たちがザワザワし出して。「この辺に聖闘士星矢が住んでるぞ！」って噂が立ち始めたんです（笑）。そうこうしてるうちに落書きまでされるようになって。これじゃもう乗れへんなって、バイクは処分することにしました。125ccで高速は乗れないから、大阪から東京に来るときも下道で14時間くらいかけてそのバイクに乗って来た、結構思い入れあるバイクやったんですけど。

森田：
ヤンキーくらいバイク好きやもんな（笑）。どこへ行くのもバイクやったし。

東ブクロ：
そうやね。上京したのが2月やったから、箱根の雪山を転けながら走ったり。ま、でもその後すぐまたええバイク買いましたけどね。

森田：
原付やけどな（笑）。

東ブクロ：
125ccのね（笑）。

場数を重ねた新宿、膝を突き合わせネタを作った五反田

--上京したての頃のお二人にとって、思い出に残っている街はありますか？

東ブクロ：
新宿かな。新宿・下北沢あたりが劇場が多いんですよ。当時は賞レースで勝つこと目指して大小問わずいろんなライブに出てたんで、新宿にいることが多かったですね。月10本くらいは舞台に立ってたかな。今だとライブの数自体増えてるし、若手芸人はもっとたくさんライブ出てるのかもしれないけど。それでも忙しくはありましたね。

森田：
ネタ作りは五反田のジョナサンでやってました。ネタが出来きってない単独ライブ前とかは、ドリンクバーだけ頼んで10時間くらいはいたんちゃうかな。だんだん常連さんと顔見知りになってくるんですよ。土地柄、夜のお店のお姉さんとかも多かったですけど、よくわからんAKB48オタクのおっさんになぜか僕が気に入られて。朝方までずっとAKBの話を聞かされる、みたいなこともありました（笑）。

芸人としての成長を感じた三宿

東ブクロ：
あとは、上京して2〜3年のときかな？初めて三宿で飲んだときは「俺も芸能人になったかぁ！」って高揚したのは覚えてますね。ステータスが1つ上がった気がしたというか。

森田：
スタッフさんって、三宿とか西麻布とか、なんかあの辺で飲みたがるよな（笑）。僕はその辺を「駅のない街」って呼んでるんですけど。若手芸人にとって、駅のない街が一番飲みに行くにはしんどいんですよね。駅から歩くと15分くらいかかるし、タクシーは金もかかるし。まぁでも、結局飲み会に呼ばれたら嬉しくて行ってましたけどね。