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アルピー平子のロマンチック哲学#7「平子流・子育てへの向き合い方」

お笑いコンビ「アルコ&ピース」平子さんに、心地よく幸せな人生を歩むための哲学を教えていただく連載企画『アルピー平子のロマンチック哲学』。第7回目のテーマは、「平子流・子育てへの向き合い方」です。

現在、中学1年生の息子さんと小学5年生の娘さんのパパでもある平子さん。前回のコラムでは、「時間の許す限り子どもたちとのスキンシップを大切にしている」と語っていましたが、他にはどんなこだわりの教育方針があるのでしょうか?愛してやまない奥様との、子育てをめぐった意外なやり取りや、親が子どもにどう接すべきかなど、平子さんの子育て哲学をたっぷりと教えていただきました。
平子祐希:
1978年12月4日、福島県いわき市出身。お笑いコンビ「アルコ&ピース」のボケ担当。2012年「THE MANZAI」で3位入賞を飾り、バラエティ番組やラジオMC、俳優業でも活躍。相方は酒井健太さん。類稀なる愛妻家としても知られており、2020年には妻・真由美さんへの愛や結婚観を綴った自身初の著書『今日も嫁を口説こうか』(扶桑社)を出版している。
平子祐希

許可するときも叱るときも、「なぜそうなのか」を伝える

幼い頃から、子どもたちには自由にのびのび育ってほしいと思って接してきました。唯一こだわって教育してきたことがあるとすれば、公共の場で人に迷惑をかけないように、ということかな。他のことに関しては割と寛容な僕ですが、もし子どもたちが人様に不快な思いをさせるようなことがあれば、厳しく叱ってきましたね。

寛容といっても、何でもかんでも放任している、というわけではありません。なぜそれを許すのか、理由をきちんと伝えるようにしています。子どもが寝る前に友達とオンラインゲームをしたいと言ったときには、「友達と親交を深めることは大事なことだから、今日は少しくらい夜更かししてもいいよ」と説明する。叱るときも同じです。なぜパパが口うるさく言うのか、自分たちが大人になって困ることがないようにするためなんだとしっかり説明します。どんな教育も感覚的なものではなく、一つひとつ理由があることを、本人たちにも理解してもらうのが大切かなと。

子どもの反抗期は、真正面からの愛情で制圧!

最近になって、息子に反抗期の片鱗が見え始めたのですが、その萌芽は僕が潰しました(笑)。

どう潰したかというと、反抗期が来たことを心から喜んだんです。息子が奥さんに対して反抗的な言動を取っている瞬間にも、「こういう態度を取るのは、お前が正しく確実に成長している証なんだよ。何もかもが気に食わなくてしょうがないのだろうけど、お前がきちんと成長していることが分かって、パパもママも嬉しいよ!さあ、もっと反抗してごらん?」と、真正面から伝えたんですよね。そうしたら、耳まで顔を真っ赤に染めて、それからは反抗的な態度は見られなくなりました。

思春期に差し掛かり、お子さんとのコミュニケーションが難しいと感じている方がいたら、ぜひこの方法をオススメしたいですね。我ながら、反抗心の逆を突いたいい対応だったなと思うので(笑)。

子育て方針で夫婦の衝突も。どんな選択も子どもへの愛情ベース

平子祐希
子育てについて奥さんと考え方がぶつかってしまうこともよくあるんです。例えば、子どもの受験について。長男は私立中学を受験しました。都会では小学校や幼稚園でも入学試験を受けることがあるようですが、田舎育ちの僕は高校受験の経験しかなくて。私立の好きな学校に通うっていう文化が根付いていないんです。奥さんとは、「遊ぶ時間を割いてまで勉強する必要ってあるの?」なんて、未だに話し合います。

難しいのは、どちらの考えも別に間違ってはないこと。子育てって正解が見えないから、考えを何度もすり合わせて、より良い道を家族で選び取っていくしかないんです。どの道を選んだとしても、そのベースには子どもたちへの愛情があることだけはぶらさずに。

過剰に与えすぎず、多様な経験からの学びをサポートするのが親の愛

子どもが生まれたばかりの頃は、必要以上に肩肘を張っていました。でも子どもって、こちらからすべてを与えなくともぐんぐん学び取るし、家の中だけでなく外からもどんどん吸収して成長するんですよね。親がすべきことは、そうした外からの学びに対して背中を押してあげたり、迷ったときに一緒に考えてあげたりといった、ほんの少しのサポートなのかもしれないと思うようになったんです。

むしろ、親が過剰に施したり、教えすぎたりすることが、かえって子どもたちの心理的プレッシャーになるかもしれない。子どもが部活や習い事を辞めたいと言ったとき、なんとか続けさせようとする親御さんもいると思います。でも、バスケットボールを途中で辞めたとしても、将来NBA選手になっていたかどうかもわからないしね。

「こんな子どもに育ってほしい」と理想を抱くことも大切ですが、それを子どもに押し付けるのは違うよね、と。「石の上にも三年」を強いるのではなく、まだ若いうちこそいろいろな経験をさせてみるんです。中学・高校生くらいにもなればさらに自我が強くなって、一度離れたことにもう一度挑戦してみようと考えることもあるかもしれない。子どもを信じて、時に彼らに委ねてみるのも、親なりの愛なのかなと思っています。

取材・執筆/神田佳恵