年末年始の出費で気づけば家計がカツカツに。「節約しなくちゃ」と思うほど、心が重くなっていませんか。無理な我慢は長続きしません。体をデトックスするように、家計も不要なものを取り除いて循環をよくすれば、自然とお金が貯まる体質に変わります。
こんなことはありませんか?
▶ 何に使ったかわからないけど、お金がない
▶サブスクの解約を「そのうち」と先延ばしにしている
▶クレジットカードの請求額に毎月驚く
▶ 貯蓄したいのに、月末にはいつもギリギリ
ひとつでも当てはまったら「家計のデトックス」を始めるタイミングです。2月は新年度に向けて家計を整える絶好のチャンス。心地よくお金と付き合う方法を紹介します。
節約は我慢ではなく心のデトックス――なぜ今、家計を整えるのか
「節約」というと、欲しいものを諦め、ひたすら耐える姿を想像するかもしれません。しかし、ウェルビーイングの視点で見れば、家計を整える本質的な目的は我慢ではなく、自分を取り戻すプロセスにあります。
年末年始の出費で膨らんだ家計をリセット
「お正月だからと財布の紐を緩めたら2月の請求書にビックリ」といった経験をする人も多いのではないでしょうか。総務省の家計調査 によれば、2024年における二人以上の世帯の月平均消費支出は約30万円ですが、12月は35万円でした。年末年始は帰省費、お年玉、新年会などで出費が増える時期です。クレジットカードの請求が2月に集中し、家計が圧迫されがちです。
今リセットしないと、4月の入学準備や引っ越しなど新年度の出費にも対応できなくなります。2月から3月に家計を整えておけば、新年度を気持ちよく迎えられます。
キャッシュレス化で「見えない出費」が増加
現金を使わない生活が増え、支出の実感が薄れています。スマホ一つで買い物が完結する便利な生活は、「何に使ったかわからないけどお金がない」という状況を招きがちです。
サブスク契約の自動更新で、気づかないうちに固定費が増えているケースも少なくありません。株式会社バリューファーストの「サブスクリプションサービスの利用実態調査」によると、サブスクの契約状況を1年以上見直していない人は約3割という結果となっています。
定期的な見直しがないと無駄な支出が積み重なり、気づいたときには家計が苦しくなってしまいます。
出典:株式会社バリューファースト「サブスクリプションサービスの利用実態調査」
ウェルビーイングをもたらす「循環のよい家計」とは?
「家計のデトックス」で得られる循環のよい家計には、4つの特徴があります。
1、収入の範囲内で生活できる
循環のよい家計の基本は、「いつも黒字」です。毎月赤字になったり、ボーナスで埋め合わせたりする状態では、心が休まりません。収入の範囲内で無理なく暮らせるようになると、お金の不安から解放されます。
2、無理なく貯蓄・投資ができる
将来への漠然とした不安を解消するためには、目的に合わせた貯蓄・投資が継続的にできている状態が理想です。老後資金、教育資金、旅行資金など、目的別に少しずつでも積み立てられていれば、将来への安心感が生まれます。「貯金しなくちゃ」というプレッシャーではなく、「未来のために」という前向きな気持ちで取り組めるのが、循環のよい家計です。
インフレが続く今の時代、預貯金だけでは資産の実質的な価値が目減りしてしまいます。たとえば、年間2%のインフレが続くと、10年後には現在の100万円の価値が約82万円相当まで下がってしまうのです。NISAなどを活用した投資による資産形成は、インフレから資産を守る有効な方法です。
3、家計状況が把握できている
家計の収入と支出を把握できている(夫婦の場合はともに)状態も大切です。特にキャッシュレス決済の「見えない支出」を意識しましょう。どこにいくら使っているかがわかれば不安は減り、計画的にお金を使えるようになります。
4、「いざ」というときにすぐに使えるお金が確保できている
病気や失業などの緊急事態にも対応できる貯蓄があると、心に余裕が生まれます。目安は生活費の6ヵ月分から1年分。月の生活費が30万円なら、180万円から360万円が理想ですが、まずは3ヵ月分の90万円を目標にするなど、段階的に積み立てていきましょう。
「家計のデトックス」を実践する4ステップ
それでは、具体的にどのように「家計をデトックス」していくのか、その手順を解説します。
【ステップ1】現状の把握から
まずは現状の収入と支出を把握しましょう。家計簿アプリを使えば、銀行口座やクレジットカードと連携して自動で記録されるので手間がかかりません。
ポイント
アプリのダウンロードと設定だけなら30分程度。まずは1ヵ月使ってみて、お金の流れを「見える化」することから始めましょう。
【ステップ2】固定費の見直し
家計のデトックスにおいて最も効果が高いのが、固定費の見直しです 。保険料やサブスクリプションなどの一度の変更は、その後の節約効果が長く続き、毎日のストレスになりません 。
判断の基準は、「月に何回使っているか」そして「それで心が満たされているか」という視点です 。見栄や比較のために払い続けているコストは、思い切って手放してしまいましょう。
ポイント
サブスクの解約は、スマホから3分で完了。「そのうち」ではなく「今すぐ」がコツです。
【ステップ3】使途不明金を突き止める
何に使ったのかが不明なモノと金額を、家計簿や日々の行動で見つけます。コンビニでのついで買いや、セールでの衝動買いが積み重なると、月に数千円から1万円以上の使途不明金になります。
コンビニで飲み物とお菓子を買うのが1日500円として、月に15回なら7,500円。なんとなく入ったカフェで500円使うのが週2回なら月4,000円。小さな出費の積み重ねが、月11,500円、年間で138,000円にもなります。自分の無意識の消費パターンに気づくだけで、大きな節約につながります。
ポイント
1週間だけでも買い物のたびにレシートを保存して振り返ると、パターンが見えてきます。
【ステップ4】貯蓄と投資の仕組み化
給与天引きや自動積立などを利用し、貯蓄やNISAの積立をします。決まった額を貯蓄や投資に回し、残りでやりくりすると管理がラクです。
会社の財形貯蓄、銀行の自動積立定期預金、証券会社のNISA積立など、自動で引き落とされる仕組みを活用しましょう。使える分だけ使うのではなく、貯めるべき分を先に確保すると、確実に資産を増やせます。
ポイント
「余ったら貯蓄」ではなく、「先に貯蓄、残りで生活」が成功の秘訣です。
リバウンドを防止!「循環のよい家計」をキープするには?
せっかく家計をデトックスしても、反動で散財してしまっては意味がありません。楽しみながら、心地よい家計を継続するためのポイントをお伝えします。
貯蓄や投資の目標は高くしすぎない
目標が高すぎて貯蓄や投資に回すお金が多すぎると、生活がギリギリになりリバウンドのおそれがあります。「まずは1万円から」といった生活に支障のない現実的な金額を設定し、徐々に増やすのがコツです。
大切だと思うことにはしっかりお金を使う
「家計のデトックス」を成功させる重要なポイントは、メリハリです。自分が大切だと思うことにお金を使えるようになると、家計だけでなく心も軽くなります。好きな趣味、大切な人との時間、自己投資など、心が満たされる使い方を意識しましょう。
変動費の節約は無理のない範囲で
変動費(食費など)の節約は我慢を伴うものが多く、ストレスやリバウンドの原因になりがちです。たとえば、料理が得意なら食費の節約も楽しみながらできるかもしれませんが、そうでなければできる範囲にとどめましょう。
お金の管理をシンプルにする
家計簿を細かくつけようとすると、時間と手間がかかってストレスの原因になります。アプリや項目の少ない家計簿の利用などで、管理をできるだけ簡単にしましょう。完璧であるより、続けられることが大切です。
まとめ:家計が整えば、人生の質はもっと向上する
「家計のデトックス」は、今の自分にとって何が必要で、何が不要かを見極める「自分自身との対話」でもあります。不要なものを排出し、お金の循環を良くすることで、自分らしく生きるための確かな土台が整います 。それは単なる数字の管理を超えて人生の質を押し上げ、ウェルビーイングな毎日を支える力になるはずです 。心地よい暮らしを実現するために、お金を賢く使い、育てる習慣をこの春から身につけてはいかがでしょうか。
プロフィール
松田聡子
明治大学法学部卒。ITエンジニア、 国内生保の法人営業を経て2009年より独立系FPとして開業。法人・個人向け相談業務の他に、企業型確定拠出年金の講師などで活動し、2020年より金融経済ライターとして大手金融メディアなどにマネー記事を寄稿。お金を心豊かに生きるためのツールと考え、ウェルビーイングのための実用的なマネー情報を発信中。著書『60分でわかる! 住宅ローン 超入門』。日本FP協会認定CFP®