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\食の処方箋/薬膳でカラダの中から温め、巡らせ、整える。寒さに負けないカラダづくり。(vol.5)

薬膳による健やかな食習慣の普及に力を注ぐ、赤堀真澄さん。そのきっかけは、「薬膳によって体の不調を乗り越えた」というご自身の経験にあったそうです。また、薬膳の本場・香港で目の当たりにした、人々に根付く健康維持の秘訣にも心動かされたのだとか。

赤堀さんと薬膳の出合いや、薬膳の知識を最大限に活かすための心がけについて、語っていただきました。

プロフィール

赤堀真澄さんアー写
赤堀真澄
幼い頃からの不調を薬膳で改善したことで、薬膳を自らの道に選ぶ。香港で学んだ本場の中医学を基に、実践しやすい食のセルフケアで体質改善のサポートを届ける。一般社団法人日本食医食美研究会の代表理事や国際薬膳学院の学院長、和学薬膳®協会の理事長も務め、大学などでも指導。2022年からは梅花女子大学でも教鞭を取り、若い世代に向けた薬膳知識の普及にも尽力する。国際中医師、和学薬膳®博士、唎酒師と、数々の資格も保持。

悩み続けた体調不良が和らいだ、「薬膳」との出合い

薬膳の持つ力を実感したのは、30代の頃です。幼い頃から肌が弱く、慢性的な冷え性にくわえて、不妊体質も抱えており、つねに何かしらのトラブルに頭を悩ませていました。冬だけでなく夏の間も体の冷えが収まらず、靴下とチョッキが手放せない日々。そんな中、25歳のときに中医学と出合いました。「このままずっと体の不調とともに生きていくのは嫌だ!」と意を決して、薬膳を取り入れてみることにしたんです。

生薬を煎じ、毎日欠かさず飲む生活を続けていると、みるみるうちに体が変化していくのを感じました。悩み続けていた肌荒れが落ち着き、冷え性も和らぎ、さらには待望の我が子を授かることもできたんです。

その後も薬膳に基づく食事を続けていたところ、夫の転勤が決まり家族で香港に移り住むことに。香港は、「医食同源」の考えによる薬膳料理の食習慣が根付いているといわれる国。「私の人生を劇的に変えてくれた薬膳には、どんな秘密が隠されているんだろう?」と、ワクワクしながら現地に向かいました。

香港で目の当たりにした、季節の食材に隠された薬膳の力

実際に香港に住んでみて、不思議に感じることがありました。香港で出会った多くの方がとてもパワフルで、夏の強い冷房の中でも体が冷えている様子がないし、ご高齢の方も活動的。日本と同じアジア人でも、「こんなにも違うのはなぜだろう」と思っていました。

現地の方を観察していて気づいたのは、新しい季節が訪れると、みんな同じ食材を取り入れているということ。高温多湿な夏の季節にはこぞって冬瓜を買い、乾燥が気になりだす秋にはみんな梨を買っていきます。

最初は「冬瓜が好きな民族なのかな」と思っていたのですが、そうではなく(笑)。薬膳の考え方によると、冬瓜は「体の熱と湿気を調整する」とされ、梨は「呼吸器系の乾きや喉の痛みを和らげ、体を整える」といわれているんです。

食べ物の選び方を正しく知っていれば、どんなに厳しい環境下でも健やかに生きていける。香港は、まさに薬膳が人々の生活のすぐそばにある国でした。

「相手の体を思う料理」はすべて、薬膳料理になる

薬膳についてお話しするうえで心がけているのは、「普段の食事に無理なく取り入れられるようにすること」。珍しい生薬や、特定の地域でしか入手できないような食材ではなく、スーパーや冷蔵庫の中にある身近な食材でも、薬膳は実践できます。

かつて中国の皇帝の健康管理に薬膳の知識が重宝されたように、薬膳はたったひとりの健康を考えて編み出された食事法です。子育てをされている方なら、お子さんが体調を崩してしまったとき、「消化にやさしいたまご粥を作ってあげよう」と考えることもあるのではないでしょうか。これぞまさに、薬膳の考え方です。

食べる人にとって、今どんなものが余分だったり不足したりしているのかを考えて、その体に合った食材と食べ方を選ぶ。相手の体のことを思って作った料理はすべて、薬膳料理になり得るんです。

目指すは100日。自分の体に向き合うことから薬膳習慣を始めよう

薬膳料理に挑戦してみたいと思っている方は、まずは「自分の体に向き合うこと」から始めてほしいです。寝起きのすっきり具合や、トイレの回数、目の疲れ、肩こり、頭痛、洗顔後のお肌のゴワつき、生理は順調に来ているか……。些細なことでもいいので、体調の変化に意識を傾けてみてください。

忙しく過ごしていると、つい自分のことを後回しにしてしまいがちです。でも、日常生活を送る中で自分の体にどんなお困りごとが起きているかを理解することで、今自分にどんな食材が必要なのかがすぐわかるようになります。

そして何よりも大切なことは、「継続すること」。毎日は難しくても、体に寄り添った食事を週に3回、3〜4ヶ月ほど続けることで、体質の変化を感じる方もいらっしゃいます。つくる人にとっても、食べる人にとっても、無理がなく無駄もない、美味しく続けられる薬膳習慣を、これからも伝え続けていきたいと思っています。
国際薬膳学院の学院長として、たくさんの方に薬膳を指導されている赤堀さん。
現在は、「学院での対面」と「自宅から参加できるオンライン」が選べる、ハイブリッド形式で授業を行っているそうです。「もっと薬膳について学びたい!」という方は、国際薬膳学院のホームページをチェックしてみては?
国際薬膳学院のホームページはこちら


取材・執筆/神田佳恵