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vol.4 きのこに魅せられ専門店を開業!~きのこ料理専門店 創士庵 西野さん~【私と誰かに、ちょっといいこと】

奈良県で創造性あふれるきのこ料理をコースで提供している「きのこ料理専門店 創士庵(そうしあん)」のオーナー、西野由紀子さんにお話をお伺いしました。

ご夫婦できのこに魅せられ、きのこ専門店を開業したきっかけや、大切にされている人との関わりについてもお話ししてくださいました。

きっかけはきのこの造形美と、モチーフとしての可愛さ

ーーきのこに魅せられたきっかけは?

ヨーロッパではキッチングッズにもイラストが起用されていたりと、きのこのモチーフのものは人気なんです。まず主人がきのこの造形に興味を持ち、きのこをモチーフにしたステンドグラス製作を始めました。

私はきのこに対して食材として興味があったので、栽培の様子を見に行ったり、珍しいきのこを探しに行ったりしながら見聞を深めていくうちに、他の食材にない「面白さ」をきのこに見出し、より興味が湧いてきました。

体にいい食材で、好奇心も満たされる。そんな魅力がきのこにはあると思います。

勇気を持ってチャレンジした「きのこ専門店」の開業

ーー「きのこ料理 創士庵」を始めるきっかけは?

きのこの栽培ができるスペシャリストに出会ったことがきっかけです。
天然に近いきのこ、品質が高いきのこ、珍しいきのこを集めることができるので、コースに仕立ててお客様に提供したら楽しいだろうなと思ったんです。

当初、きのこ専門店としてコース料理を提供することが正解なのか迷いはありました。今でこそ何かの専門店は増えてきましたが、オープン当初は”専門店”という飲食店は少なく、勇気がいることでした。ですが、アラカルト提供にすると、お客様が選ぶものによってきのこの種類が限定されてしまう可能性があると思ったんです。

もっときのこの魅力を知って欲しいと考える私としては物足りないと感じ、コース提供でチャレンジすることにしました。コースで”起承転結”を表現し、ストーリー性を持たせることでよりきのこの魅力を楽しんでいただきたいと思っています。

ーーきのこをメインとしたコースメニューを考えるのは難しいですよね?

きのこを食してみて、料理が思い浮かぶようになりました。「きのこをキャスティングしている」という考え方をしています。それぞれのきのこに適した調理法で提供しています。

自宅で調理する場合、きのこは「炒める」「お鍋の具材になる」といったぐらいしか活用されていないのですが、きのこ料理 創士庵に来ていただいたお客様からは、『こんな調理法があったんですね!』と驚きのお声をいただくことがあります。

メニューを考えるのは簡単ではないですが、お客様に驚きと発見を楽しんでいただきたいので、きのこの魅力を最大限に活かすことを心がけています。
きのこ専門店  奈良  ウェルチルインタビュー
ーーメニューの着想はどこから得ていますか?

料理の雑誌やレシピを見たときに、「この料理ならきのこを使ってアレンジしたら美味しいかも!」という感じで、きのこを使っていない料理からアイディアが閃くこともあります。

そして、「この料理にはあのきのこが合う!」といった形で、”きのこのキャスティング”を行います。
ーー1回のコース料理で食すことができるきのこの種類は?

約15種類のきのこをお楽しみいただくようにセットしています。
きのこ専門店  奈良  ウェルチルインタビュー

大切にしているのは「農家さん、お客さんとの対話の時間」

ーーきのこの特性については独学で勉強されたんですか?

きのこの栽培農家さんが基礎的な知識はお持ちで、教えてくださいます。私もきのこ専門店として始めるのには勇気が必要でしたが、きのこの栽培農家さんにとっても1から新しい品種を栽培するということはチャレンジなんです。ですので売り出し方を含めて、特性をしっかり理解されている農家さんに教えてもらっています。

30年近いお付き合いを続けているきのこ農家さんもいらっしゃいます。
ーー農家さんとは密に連絡をとっていますか?

はい。農家さんと密に会話することはライフスタイルの一部です。そこで得た知識をお客様にもお伝えしています。

梅雨時期に食したい「きのこ」とは

ーー梅雨を楽しむためにおすすめしたい「きのこ」は?

梅雨時期は天然のきのこが豊富に採れる時期でもあります。梅雨を楽しむという意味では「衣笠茸(きぬがさたけ)」がおすすめです。

衣笠茸はたけのこの収穫が終わった後の竹林に生えるきのこで、朝にレースのような形状で広がって、夜にはしぼむという貴重なきのこです。
お店では乾燥させたものを使っていますが、今まさに生えている衣笠茸を想像し、食感も楽しみながら召し上がっていただくことで、梅雨を楽しんでいただくことをおすすめします。

また、梅雨時期には冷菜的にきのこを食べてもらえる料理も提供しています。
きのこを冷菜で食べることは自宅ではなかなかしないと思いますので、暑い季節には冷菜できのこを楽しんでもらうことも提案しています。
ーー貴重なきのこの中で、西野さんのイチ推しのきのこを教えてください。

「ササクレヒトヨタケ」です。強い香りがあるわけでもなく、口当たりがマイルドなのに、旨みがしっかりしているのが特徴です。

なぜ「ササクレヒトヨタケ」が珍しいかというと、栽培はとても難しく、しかもこのきのこを作っている農家さんが日本で1人だけ。生育状況が少し悪くなってもアドバイスをもらえる人がおらず、自分で研究するしかないという状況なんです。

余談ですが、農家さんが「ササクレヒトヨタケ」の栽培を始めた時期と、私がお店を開店した時期がほぼ同じというご縁もあり、思い入れのあるきのこです。

私のお店では、燻製で提供しています。「燻製に負けない芯の強いきのこ」と私は表現していて、燻製しても旨味が消えないところが面白いので、ぜひ食べてもらいたいです。
きのこ専門店  奈良  ウェルチルインタビュー

食物繊維豊富なきのこは女性の味方!

ーー女性にお勧めしたいきのこは?

スーパーで手に入りやすいきのこの中では「舞茸」がお勧めです。
良質の食物繊維が豊富で、免疫力UPにもつながる食材ですので、特に血糖値や血圧が高い方にぜひ食べていただきたいです。ダイエットしている時にはお料理に加えてみるのはいかがでしょうか。

続いて「キクラゲ」です。
農家さんが増えて、国産の生のキクラゲがスーパーでも売られるようになりました。美肌に導く食材と言われています。白キクラゲは黒いキクラゲに比べてより栄養価が高いと言われていますが、なかなかスーパーでは手に入りにくいと思います。自宅で召し上がるには黒いキクラゲで十分ですのでぜひ試してみてください。

最後に「えのき」です。
えのきにはリラックス効果が期待できる成分が含まれていると言われています。ちょっと神経が昂っているなとか、夜ゆっくり眠りたいなと思った時に、料理の一品に加えてみるのはいかがでしょうか。
ーー今後挑戦したいことはありますか?

私が知り得たきのこの知識をお客様にもお伝えしつつ、きのこ料理を提供していると、まるでワインのソムリエが語るようにきのこを詩的に表現するお客様がいらっしゃって、面白いなと感じています。共感してくださるお客様と対話する時間を大切にし、より多くの方にきのこの魅力を知っていただく場を提供し続けたいと思っています。
ーー最近意識してやっていることは何かありますか?

今まで仕事が楽しくて、夢中でやっていたので気に留めていませんでしたが、最近は少しの時間でもいいので、自然の豊かさを五感で受け止めることを意識的にするようにしています。

お店の目の前に公園があり、四季を感じたり、空を眺めたりすることできるんです。まずその環境に感謝しています。少しの時間、この風景を眺めていると心がリフレッシュされ、また新たな気持ちでお客様と対話するということを最近日課にしています。
きのこ専門店  奈良  ウェルチルインタビュー
きのこ料理専門店 創士庵

所在地:〒630-0122  奈良県生駒市真弓2丁目4-21

営業時間:火・水・木・金 11:00 - 15:00(ラストオーダー 14:00)
             17:30 - 22:00(ラストオーダー 20:30)

     土・日・祝日  11:00 - 15:00(ラストオーダー 14:00)
             17:00 - 22:00(ラストオーダー 20:30)

定休日:月曜日(祝日の場合は営業)
電話番号:0743-78-5953
公式ホームページ
取材を終えて

『きのこ栽培の農家さんとお話しすることが私のライフスタイルの一部です』とお話ししてくださった言葉からも滲み出ているように、とにかく「きのこが大好き」「きのこのいろんな特性をお伝えしたい」という情熱を感じました。興味を持ったきのこが、仕事になり、今では生きがいとなった西野さん。「深く追求することがライフワークで夢中になって楽しいこと」だとお話ししてくださいました。

ぜひ、西野さんからあふれる「きのこのお話」を聞きに、お店に行ってみては?