タレントとして活躍しながら、3人のお子さんを育てる藤本美貴さんに、心身ともにヘルシーで幸せな子育てについて伺う「藤本美貴のウェルネス子育て」。第8回目のテーマは、『子育て中の親に向けたメンタルヘルスのアドバイス』です。
昨今は「ワンオペ育児」という言葉が浸透し、親が一人で家事や育児を担う孤独やつらさを綴った投稿がSNSでも見られるようになりました。子育て中のパパやママにとって、子どもは守るべき大切な存在。でも常に頑張り続けていると、身体の疲れから気持ちが落ち込んだり、イライラして家族に当たってしまったりと理想の状態からどんどん離れていってしまうもの。日々頑張っているママたちが、今よりもう少しだけ肩の力を抜いて育児を楽しむためのアドバイスを、藤本美貴さんに聞きました。
藤本美貴:
1985年2月26日生まれ。ソロアイドルとしてデビュー後、モーニング娘。のメンバーとして活躍。2009年にお笑いコンビ品川庄司の庄司智春さんと結婚。3児の母として子育てをしながら、バラエティ番組の多数出演や自身のYouTube『ハロー!ミキティ / 藤本美貴』での自然体な姿が人気を集めている。2024年9月3日に『ミキティ語録 前しか見ない』(CCCメディアハウス)が発売。
"見守る育児"も立派な子育て。常に完璧・全力でいなくてもいい
まず、育児に対してずっと全力でいる必要はないと思っています。何かやるべきことがあるならば、同じ部屋でそれぞれ違うことをしていたっていいし、危ないことをしていないかそれとなく見守って、何かあったときにサポートしてあげれば十分。子どものひとり遊びも立派な遊びの形だし、四六時中つきっきりで遊んであげるよりも、ときには子どもだけの時間を作ることも親子にとって大切なのかなと思うんです。
「私、子どもとちゃんと向き合えているんだろうか」って悩んでしまうママさんもいるけれど、そうやって悩んでいる時点で、子どもが大切だからこそ向き合っている証拠じゃないですか。親も人間なので、疲れてどうにもならないときがあるし、感情だってある。みんながずっと笑顔でいられるならいいけど、現実は理不尽なこともあるし自分にとって都合のいいことばかりではないんですよね。そんな社会の仕組みを、大人になる前に体験して学べるのが家庭の役割の一つじゃないかって感じます。
親の趣味も子どもと共有。すべてを我慢せず自然に家族時間を楽しむ
私自身、4人兄妹の末っ子として育ったので、家族の顔色を見て「少し機嫌が悪そうだな」「今はあまり話しかけないほうがいいな」と空気を読むことを覚えました。家族の姿を見て、誰かとともに生きるためにはどうすればいいのかを学べるので、子どものために全部我慢するのが、必ずしも悪いことではないと思います。
小さなことでいいんです。テレビ番組もずっと子ども向けのものにしておくんじゃなくて、「次はママの番ね」って言って、子どもも楽しめるようなバラエティ番組にしてみたり。お出かけのときのBGMも、親世代の曲を流してみたり。平成ソングや昭和歌謡曲、一昔前のSF映画など、うまく子どもたちにも刺さると親子で楽しむきっかけになるかもしれません。できそうなところで、ちょっとした我慢から自分を解放してみてほしいです。
限界を感じる前に心身ともにリセットを。休む勇気が家族を支える
子育てや仕事でいっぱいいっぱいになってしまうと、思考や感情の整理がつかなくてどうしたらいいかわからない!なんてとき、ありますよね。そういうときは基本的に頭も身体も疲れ果ててしまっていると思うので、一休みします。夜早めに就寝することもあれば、「15分だけママのこと放っておいて!」と子どもたちに宣言して身体を休めたり。
忙しすぎると、「休んでる暇なんてない!」と思い込んでしまいがちですが、1日のうちの15分くらい横になったって、何も起こりはしないんです。なんなら1日何もしない日があっても、意外と平気だったりするんですよ。どうしてもというときは、思い切って休む勇気も必要だと思います。
「誰かに頼る育児」は悪じゃない。息抜きを大切にしてほしい
専業主婦の方や、一人っ子の親であれば余計に「自分一人でやらなきゃ!」と背負い込んでしまう部分があると思います。でも今の時代、一時保育やベビーシッターなど、行政の補助も使いながらいろんな場所や機関に頼る仕組みが整ってきています。子どもを預けるまでではなくても、児童館で他のママさんと出会って話をしたり、各自治体の子育て広場でスタッフの皆さんと一緒に子どもと遊んだりすれば、いい気分転換になりますよ。
パートナーや家族はもちろん、「誰かに頼りながらする育児」は今や当たり前。自分が潰れないことが一番大事ですし、たまにリフレッシュしたって、誰もママを責めたりはしません。ママの笑顔が家庭にとって一番の平和につながるので、ちょっとした息抜きこそ、大切にしていけたらいいんじゃないかな。
親だからといって子どもを理由に何もかも犠牲にするのは、やっぱりつらいものがある。毎日家事や育児を頑張っているママさんに、少しくらい肩の力を抜いても大丈夫だって、伝えたいです。明日はぜひ、いつもより少しだけ頑張らない時間を過ごしてみてください。きっとそれが、自分自身や家族の笑顔につながるはずだから。
藤本美貴さん 新刊のご案内
タイトル:「ミキティ語録 前しか見ない」
CCCメディアハウス刊
定価:1500円+税 仕様:四六判・並製
頁数:232頁 ISBN:978-4-484-22116-8
2024年9月3日から好評発売中!
ヘア&メイク/太田年哉(maroonbrand) スタイリスト/JURIKA.A 取材・執筆/神田佳恵