タレントとして活躍しながら、3人のお子さんを育てる藤本美貴さんに、心身ともにヘルシーで幸せな子育てについて伺う「藤本美貴のウェルネス子育て」。第3回目となる今回のテーマは、「こころの健康を保つ人間関係のコツ」です。
数々のバラエティ番組やYouTubeでの前向きな発信が多くの反響を呼んでいる藤本さん。現代の女性が、幸せな毎日を過ごすために実践したい人とのかかわり方とは?ママだけでなく、すべての女性に知ってほしい人間関係への向き合い方について、お話を伺いました。
藤本美貴:
1985年2月26日生まれ。ソロアイドルとしてデビュー。2009年にお笑いコンビ品川庄司の庄司智春さんと結婚。3児の母として子育てをしながら、バラエティ番組の多数出演や自身のYouTube『ハロー!ミキティ / 藤本美貴』での自然体な姿が人気を集めている。2024年9月3日に『ミキティ語録 前しか見ない』(CCCメディアハウス)が発売。
合わないと感じるなら、そのつながりは手放してもいい
───人間関係の悩みは、老若男女すべての方が一度は経験したことのある問題なのではないかと思います。藤本さんは、あまり合わないなと感じる方とどのようにお付き合いされていますか?
大人になってからは、「この人とは合わないかも」と感じたら、無理に一緒にいる必要はないと思うようになりましたね。学生時代は、友達はたくさんいた方がいい!という風潮があったかも知れないけど、今は無理に合わせる必要はないなって。だから私、実は友達が結構少ないんですよ。
こう思えるようになったのは、兄妹との関係性があったからだと思います。4人兄妹の末っ子なんですけど、みんな親友のように仲がよくて。たくさんの友達と時間を過ごすより、お姉ちゃんと一緒にお出かけしていた方が楽しかったんです。
一緒にいるとなんだか疲れるとか、相手に合わせて無理に頷くとか、そういう関係性の人とは無理に会わなくていい。家族という身近な場所に、なんでも話せて感覚がすごく合う人がいたから、必要以上に人間関係に執着しなくなったのかなと思います。
───なんとなくつながりを保っては、どこかモヤモヤしてしまう方が多い中、藤本さんの考え方はすごく軽やかに感じられます。
薄いつながりは、友達の友達くらいの距離感でいいんじゃないかなと思うんですよ(笑)。自分が全員と近い距離でいようとするんじゃなくて、「あの子、元気にしてるんだね」って親友と語り合うくらいで十分じゃないかなって。
伝えるタイミングを大切に、落ち着いた状態で気持ちを擦り合わせる
───パートナーである庄司智春さんは、藤本さんにとってどのような存在ですか。
親しい友人であり、恋人であり、夫であり、子どもたちのパパであり。2人でたくさんの関係性を築ける大切な存在です。お友達に固執しすぎずにいられるのは、夫の存在が大きいかもしれません。
───素敵なご関係ですね。時には衝突してしまうこともあるかと思うのですが、どのように仲直りをされているのですか?
夫は、喧嘩したとき一度距離を置きたいタイプなんです。お互い熱くなってるときに話し合っても、必要ないことまで言ってしまってお互いをよりヒートアップさせるだけだから、冷静になるまで距離を置く。若いころは家出したり、2〜3日口をきいてくれなかったこともありましたね(笑)。
友人のような関係性でもあるものの、当然夫婦なので、合わなければもう会わないという選択肢はないわけじゃないですか。言いたいことをずっと我慢する必要はないけれど、伝えるタイミングを図って、気持ちを擦り合わせるのは必要なこと。落ち着いた状態で対話をして、お互い譲り合いながらちょうどいい解決策を探っていく、その繰り返しです。
本当にしたいこと、やるべきことを明確にすると、悩みは軽くなる
───「伝えるタイミングはうまく読む」という言葉に、自分のことも相手のことも大切にする藤本さんの姿勢が現れているように感じます。
相手への配慮もそうですが、そのほうが自分の思い通りの結果に行きつきやすいから、という打算的な考えもあったりします(笑)。思いついたときにすぐに発散して暴れることもできるけれど、結局相手にお願いを聞いてもらえないなら、暴れる意味がなくない?って。
だから、1週間くらい伝えるタイミングを見定めることもあるんですよ。「そういえばさぁ」って、自然に本題に入って。
───「今言いたい!」というその場の衝動に負けずに、好機を見定めることが大切なのですね。どのようにしてそういった会話術を身につけたのですか?
元々、目標までの道のりを組み立てるのが好きなタイプなんです。この考え方は、子どもたちとの会話のなかでも出てしまうことがありますね。
例えば、子どもが友達とのトラブルを相談してきたときも、「あなたが一番したいことは何?」って端的に聞いちゃいます。一緒にゲームがしたかったのなら、他のお友達と一緒にしてもいいわけだし、そのお友達と一緒に遊びたいなら、どう向き合えばいいかを考えていく。
自分が本当にしたいことは何か、ゴールに向けて自分が今やるべきことは何なのか。考えを明確にすると、悩みも軽くなっていくと思っています。
「ママでいなきゃ」から自分を解放して、子ども自身に選択させるゆとりを
───子どもに対する自分の言動に、後悔したり反省したりしているママさんも多いのではないかと思います。気持ちを切り替えるためのアドバイスをするとしたら、何とお伝えしますか?
私、過去の自分の言動を振り返ったり、後悔したりすることがほとんどないんです。多分それは、子どもと接するときに「ママでいなきゃ」という気持ちがあまりないからかもしれない。母親だから、何から何までしてあげなきゃいけないと思う必要はないのかなって思っているんです。
相手が子どもだったとしても、イヤなことはイヤだと伝えますし、やりたいことも素直に伝えます。でも当然私の方が人生経験は豊富なので、子どもが間違ったことをしていたら教えるし、できないことがあれば手助けする。そのうえで何をどうしたいのか、子ども自身に選択を委ねてみることで、お互いにとって心地よい状態でいられるんじゃないかなと思います。
藤本美貴さん 新刊のご案内
タイトル:「ミキティ語録 前しか見ない」
定価:1500円+税 仕様:四六判・並製
頁数:232頁 ISBN:978-4-484-22116-8
2024年9月3日発売予定 CCCメディアハウス刊
ヘア&メイク/太田年哉(maroonbrand) スタイリスト/JURIKA.A 取材・執筆/神田佳恵