「わたしのウェルチル」では、素敵な人生を送る方々に、ご自身のウェルビーイング&チルな時間をお聞きします。記念すべき第1回は、優美なたたずまいで存在感を放つ俳優の黒木瞳さんにお話を伺いました。
自分と対話してストレスを知り、0に近づけるためにバランスを取る
──ウェルビーイングはかなり広い意味の言葉だと思いますが、黒木さんにとってのウェルビーイングとはどのような状態ですか?
心身ともにいい状態とは、ストレスのない状態だと思います。自分と対話してストレスを知ることが、自分にとって一番いい状態を保つことにつながると思います。ストレスを感じたら、それを0に近づけるために何をすればいいのかを探し、そのための努力をしています。
──ストレスを減らすために行っている習慣を具体的に教えてください。
仕事で達成感や充実感を味わうことでストレスが解消される場合もありますし、ジムへ行ったり乗馬をしたりすることで、リフレッシュすることもあります。その時々の心身の状態に合わせて、バランスを取っています。
仕事では役者として、自分とは違う女性の人生を体験します。これはある意味バーチャルで感情を伴う体験で、その女性から多くのことを学びます。今まで多くの作品で生きた女性達からいろいろな経験をさせてもらいました。それらが充実感や達成感につながることで、心身の健やかさを感じます。もちろん、いつも上手くいくわけではないので、反省や努力を繰り返しながら自分の気持ちを整えています。
ジムと乗馬はどちらも今年から始めました。普通に撮影だけしていると、待ち時間や座っている時間が多く、運動量も減ってしまいます。そこで、筋肉を育て体を作ることで、健やかに生活し、人様に迷惑をかけずに仕事を続けるためにジムに通い始めました。
乗馬は、韓国や中国の時代劇で馬に乗るシーンを多くみかけます。自分も乗ってみたいと思い始めました。週1回のペースで通っていますが、最初のうちは馬に乗せてもらっている感じでした。レッスンを重ねるうちに、自分が馬に指示を出さなければならなくなります。車と同じようにアクセル、ブレーキ、スピードの調整、右に曲がる指示などを生きた馬に伝えるのは難しいです。
まだ半分は馬に乗せてもらっている、助手席にいる感じですが、少しずつ自分の意思が馬に伝わる楽しみを感じています。馬はとても臆病な動物で、こちらの緊張が伝わるそうです。馬と一体になる感覚になるまでには、10年ぐらいかかるんじゃないでしょうか
ゲーム・読書が大好き!仕事との切り替えにも
──黒木さんにとって、最高のチル(リラックス)タイムとはどのようなものですか?
ゲームや読書ですね。私、実はゲームオタクなんです。朝起きたらまず白湯を飲んで、ゲームするのが私のルーティンです。ゲームをするとアドレナリンが出て、1日の始まりに「よし!今日も頑張ろう」という気分になれるので好きです。仕事がお休みで予定がない日は、朝の5時からお昼の12時くらいまでゲームをしているときもあります。
読書も大好きです。忙しいと月に1〜2冊しか読めないこともありますが、だいたい月に5冊くらい読んでいて、常に次に読む本を積んであります。小学生のとき、学校の図書館の本を全部読みました。読むものがなくなった小学6年生のときに町に図書館ができて、嬉しくて通いましたね。そこで谷川俊太郎さんの詩集に出会い、詩にも興味を持つようになりました。移動中に読書することが多く、旅行の際も駅や空港で本を買っています。
ゲームや読書に熱中している時間は、仕事のことを考えなくてすむので、いい切り替えになっています。
お客さん一人ひとりの人生が輝いてほしい…ディナーショー「for you」に込めた想い
──最近のご活動について教えてください。
ドラマが数本終わって、9月にあるディナーショーの振り付けが始まっています。ダンスやタップ、歌のレッスンなど、やるべきことは多くあるので、優先順位を考えながら進めています。
今回のショーでは私の振り付けでタップナンバーを作る予定です。まだ全然できていないので、コツコツ練習を重ねています。新たな挑戦として、今回はチェアダンスも取り入れる予定です。これは特に腹筋が必要なダンスですので、ジムで腹筋のメニューを組んでもらい、本番までに仕上げることを目指しています。昨日よりも今日、今日よりも明日と、少しずつできるようになることが最高の喜びです。なんてのんきに言っていますけど、気持ちはものすごく焦っています(笑)。
私は歌手でもダンサーでもないので、ショータイムをお客様にどう喜んでいただけるか、何を披露すればいいかをずっと考えています。今回のディナーショー「for you」の構成や演出は私自身が担当しています。お客様に楽しんでいただき、元気になってもらうことを第一に考え、このタイトルをつけました。
このショーは私一人で行うのではなく、メンバーと一緒に作り上げるものです。しかし、私自身が楽しむだけでなく、「観てくださるあなたが、あなたたち一人ひとりの人生が輝き、明日も生きようと思ってくれたら嬉しいな」という想いがあります。そのためにはどうしたらいいのか、日々考えながら取り組んでいます。
黒木瞳ディナーショー「for you」
2024年9月28日(土)ANAクラウンプラザホテル大阪
取材・文 ぐみ