ウェルチル

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【わたしのウェルチル】第6回:朝野ペコさん

楽しく健康に人生を送る方々に、ご自身のウェルビーイング&チルな時間をお聞きする連載「わたしのウェルチル」。今回は、当サイトのイラストでお馴染み、人気映画でも挿画を担当する気鋭のイラストレーター、朝野ペコさんにお話を伺いました。

モットーは、「あらゆる立場になって考えること」

ーー映画『花束みたいな恋をした』『あまろっく』の劇中イラストレーションをはじめ、東京メトロ2024年度マナーポスターのイラストを担当されるなど、多方面でご活躍をされています。快進撃の背景とは?

子どもの頃に見た児童書の挿絵の印象が強く、絵を描く仕事に憧れを抱きました。しかしイラストレーターを生業にするのは現実味がなく、会社勤めやアルバイトをしながら絵を描いていて、ある日一念発起。ダメ元でイラストの営業に出かけたんです。そこからは「仕事が仕事を呼ぶ」という感じで軌道に乗り、5年ほど前にイラストレーターとして独り立ちできるようになりました。

東京メトロ2024年度マナーポスター

ーー2024年には、ロフト×ソトコト「ロフコト雑貨店」第5弾「ロフコト流三河屋」のメインビジュアルも担当されました。媒体も登場するキャラ設定もさまざまですが、ご自身がイラストを描く際に心がけていることを教えてください。

ロフト×ソトコト「ロフコト雑貨店」第5弾「ロフコト流三河屋」のメインビジュアル

ビジュアル面ではぱっと目を引く、明るいカラーで描くということを心がけています。それ以上に考慮することはあらゆる人を想像して描くことです。公共のイラストレーションは見ようと思わなくても人の目に入るものなので、人種、性別、マイノリティである、マジョリティであるなど、あらゆる立場の人のことを考えます。自分の描いた絵で誰かが疎外感を感じたり、傷ついたりすることは避けたいと思っています。
特に「ウェルチル」のイラストは、「ウェルビーイング」がテーマなので、風通しが良く気持ち良い時間や人と人とのつながりをイメージして描きました。ウェルビーイングという言葉はよく聞きますが、自分自身あまり意識したことがなかったので、自分のウェルビーイングを再確認するきっかけにもなりました。

コロナ禍直後、2020 年7月に開催されたグループ展「怒り」で出展した「ANGER POL 2020」

自宅と仕事場を分けたことがウェルビーイングへの第一歩に

ーーペコさんが日々の生活の中でウェルビーイングを感じるのはどんな時ですか。

仕事柄、繁忙期は生活が不規則になりがちで、ウェルビーイングには程遠い状態の時期もあります。そんな中でも近所の友人とお茶したり、一緒に何かを作ったり、そんな時間が心と体の健康に繋がっていると思います。忙しい時でも睡眠はできるだけしっかり取って、ウェルビーイング貯金をしていますよ。寝ると大概心も体も復活しているので。

ーー最高にリラックスできる時間はいつですか?

今年から事務所を借りはじめました。自宅から徒歩20分の場所に。事務所では仕事はもちろん、遊び場にもなればと思っているんです。最近は仕事も遊びの延長線にあることが大事だと考えるようになりました。いつもわくわくしていないと制作に向き合うことはできません。なので仕事場はできるだけ楽しい空間に。アートを飾ったり、プロジェクターを置いて大きなスクリーンで映画を観たりしています。

ーー多忙な中、リラックスタイムはどのように作っていますか?

自宅で仕事をしていた時は仕事と生活が一緒になっていて、リラックスや趣味の時間を作ることが困難でした。事務所を借りたことでオン/オフのスイッチができるようになって生活にメリハリがつきました。自宅は生活の場所と振り切れたのが大きいですね。徒歩20分の通勤も季節を感じられて気持ちがいいですし、以前よりも生活が充実して時間の使い方も上手になり、リラックスタイムも捻出できるようになった気がします。

変わるもの、変わらないもの。変化を楽しみながらモノ作りを続けたい

ーーペコさんは関西にお住まいですが、おすすめのスポットはありますか?

事務所を構えたのは、大阪の中崎町というところです。中崎町は梅田や北新地などの繁華街に隣接しつつも、戦前の木造建築や長屋が残っていたり、古民家カフェや古着屋、雑貨屋なども立ち並びます。過去に10年ほど中崎町に住んでいたこともあって、街としてスピーディーに進化を遂げながら、新旧の文化や老若男女が共存している空間がとても気にいっています。

この街と同じように、私自身も年々興味や感じ方が変化しています。一方で、絵を描くということは何十年も続いていることです。変わるものと変わらないもの。どちらも楽しみたいと思っています。

ーー100歳まで生きるとしたら、どんな暮らしをしたいですか?

いつまでも好奇心を持って遊んでいたいです。周りには様々な職業の方がいて、そういう方と一緒に何ができるだろうと考えることが楽しいんです。いつまでも遊びの延長のようなことを真面目にやって、形にしたいです。役に立たないものでも何でも、自分たちが楽しいと思えることをやっていたいです。

ーー今後どのようなキャリアを歩みたいか教えてください。

イラストレーションの仕事は変わらずやっていきたいです。それと小さい頃から映画が好きだったので、いつか映画のようなものを作りたいと画策しています。時間がないのを言い訳にしてなかなか進まないのですが……。年々日々の経過が早くなるので、もう少し急ぎ足で進めていかないと実現できないですね。
創作自体は孤独な作業です。でも今回の「ロフコト流三河屋」など、私のイラストでイベントが盛り上がっているのを目の当たりにすると、社会とのつながりや自分の役割を実感します。誰かを傷つけることのない。誰かの役に立つ。そんなイラストを描き続けていきたいと思います。
「だっぴ2」朝野ペコ・しんご 2人展
2024年10月12日(土) - 27(日)
場所 VOU(京都)

「IN/SECTS present KITAKAGAYA FLIE 2024」
2024年10月19日(土)12:00〜19:00、20日(日)11:00〜18:30
場所 CCCクリエイティブセンター大阪
https://kitakagayaflea.jp

「いつも映画館のことばかり考えている人のために。vol.2」
  Produced by  キノ・イグルー
2024年11月3日(日・祝)11:00開演(10:30開場)
場所 東京蒲田文化会館4階
https://kinoiglu.com/issue/?p=1900
取材・文:松丸まきこ