20〜30代は自己投資や副業、プライベートとやりたいことがたくさんある時期ですよね。しかし、現実は「仕事に追われて部屋は寝るだけ」「生活感があってテレワークに集中できない」といった悩みが多いもの。Vol.2では「片付けパパ」として活動する大村信夫さんに、限られたスペースでも「最強のくつろぎ」と「生産性」を両立させる「片付けパパ」流メソッドについて伺います。
狭い部屋を片付けるコツは「垂直活用」と「余白の確保」
―― ワンルームや1LDKに住んでいる方が多い世代だと思います。こうした部屋にはどのような課題がありますか?
大村:
最大の問題は、「部屋の多機能化」に対して「空間の仕切り」が追いついていないことです。かつて部屋の主な目的は「寝る・くつろぐ」でしたが、コロナ禍を経て「仕事(本業・副業)」「学び(リスキリング)」「趣味(動画配信やSNS)」のすべてを行う場所になっています。
具体的な課題は3つ。1つ目が、オンとオフが混ざる「視覚的ストレス」です。 ワンルームや1LDKの限られた空間では、ベッドから仕事用のデスクが見え、デスクからは洗濯物が見えるといったケースが多い。この視覚的なノイズが脳を常に半覚醒状態にさせ、仕事では集中力を削ぎ、休息時には罪悪感を抱かせます。私の著書『仕事の「整理ができる人」と「できない人」の習慣』(明日香出版)でも触れていますが、視界に入る情報は思考を支配します。散らかった部屋は、常に「未完了のタスク」を突きつけてくる督促状のようなものなのです。
2つ目が「とりあえず買い」によるモノの飽和と、手放す「罪悪感」です。将来のために買った資格試験の参考書や、いつか着るつもりの勝負服などが部屋にあふれていませんか? 20〜30代は自己投資の意欲が高い分、モノが多くなる傾向にあります。とくに「いつかこれを活用して成長する自分」への期待感が執着となり、使っていないのに捨てられない「過去と未来の混在」が部屋を狭くしていることがあります。
3つ目が「共有スペース」の無責任地帯化です。 DINKSでありがちなのが、たとえばダイニングテーブルの半分が夫の書類、半分が妻の小物で埋まり、食事をする場所がなくなるような現象です。「お互い忙しいから」と遠慮し合った結果、共有部分がどちらの責任でもない物置になり、家庭内の生活の質を著しく下げています。
―― そうした課題を解決する、狭い部屋の片付けのコツを教えてください 。
大村:
まずは「垂直活用」と「余白の確保」を心がけましょう。床にモノを置かないために、壁面や浮かせた収納を徹底するのです。具体的にはパンチングボードなどを使って、ヘッドセットやケーブル類を壁に掛ける。床が見える面積を広げることが、心の余裕に直結します。また棚の1段分はあえて何も置かずに空けておくと、急な来客があったり一時的に書類の山ができたりしても、部屋の秩序が崩れずに済みます。
仕事のスイッチが入る空間作りのコツは「時間」と「機能」で区切ること
―― テレワークや副業をする際、生活空間と仕事場が一緒でも「座った瞬間にスイッチが入る」ような空間作りのコツはありますか?
大村:
狭いからこそ「空間」ではなく「時間」と「機能」で区切るのが「片付けパパ」流の鉄則です。これは先ほどお伝えしたコツにも通じます。
オンとオフの切り替えに有効なのが「クローズ・ド・カーテン」と「ボックス収納」です。ワンルームで視界をさえぎるには、物理的な仕切りを工夫してみてください。「突っ張り棒とカーテンで仕事コーナーを隠す」、あるいは「仕事道具はひとつのカゴにまとめ、終業後はクローゼットに放り込む」という儀式を作るのをおすすめします。夜、リラックスしたいときに仕事の資料が1枚でも視界に入ると、デトックスになりません。見えなければ存在しないのと同じという心理的効果を最大限に活用しましょう。
また、仕事や副業の質を上げるには「コックピット型」デスク環境の構築が効果的です。狭い部屋でも、座ったままですべてが完結する設計が、生産性を最大化します。デスクの上には、今使っているPCと必要な書類、メモ以外は置かないようにしてください。ただしお気に入りのガジェットや、ちょっとした観葉植物などはあえて置く。これにより、デスクに向かった瞬間に脳が仕事モードへ強制的に切り替わります。
―― 空間作りをする際に、注意するポイントがあれば教えてください。
大村:
最初に収納グッズを買うのは控えることをおすすめします。狭い空間に収納が増えると、窮屈に感じたりうまく使えなかったりして失敗する可能性があります。最初にやることは、「整理」です。部屋にあるものを全部出して「必要なモノ」「不要なモノ」に分け、それから収納グッズを検討するようにしてください。
片付けについて2人であらかじめ話し合っておく
―― DINKSや同棲カップルが、片付けに対する価値観の違いで悩んだ時はどうしたらいいでしょう。
大村:
部屋が散らかっているほうが落ち着く方もいれば、きちんと整っているほうが落ち着く方もいますよね。ですから、あらかじめ2人で片付けについて話し合うことが大切です。「私はこういうのが苦手」「僕はこうしたい」と率直に話し、それから「お互いの趣味のスペースには手を出さない」「床にモノを置くのだけはやめる」と最低限のルールを決めるといいでしょう。あまり細かく決めすぎるとお互いにつらくなってしまいます。
住んでいる街全体を拡張ハウスのように使う
―― 2人分になると部屋のスペースがさらに限られてしまうと思うのですが、モノを減らすコツはありますか?
大村:
住んでいる街全体を拡張ハウスのように使うといいと思います。たとえばスーパーでトイレットペーパーを安売りしていると、何個も買ってしまう方がいますが、それだと、置き場所を確保するために部屋が狭くなってしまう。でもトイレットペーパーって、コンビニですぐに買えるんです。値段は少々高くなってしまうかもしれませんが、それも微々たるもの。近所のコンビニを自分の倉庫だと考えて必要な時に買うようにすれば、モノを減らせます。部屋の中には自分が本当に好きなものやワクワクするものだけを置く、と決めるのもいいですね。
次号では30~40代の子育て世代向けに、
「家族をチームにする仕組み化」について伺います。
お楽しみに!
プロフィール
大村 信夫
1974年生まれ、共働きで3児(大・高・中)の子育てパパ
大手電機メーカーに勤務しながら 「片付けパパ」として活動 。モノを整理することで「心」や「思考」も整理され、プライベートや仕事の進め方、人間関係など 人生全体に好循環が生まれるオリジナルメソッドを提唱
会社から兼業を認められ「片付け」「5S」だけでなく「情報の整理術」「仕事や家事の生産性向上」「タイムマネジメント」「パラレルキャリア(副業/複業)」「価値観探究」「男女共同参画」などの多岐にわたるテーマで日本全国を東奔西走。 講演・セミナー受講者は30,000人を超え、満足度(5段階評価4以上)は96%を超える
国家資格キャリアコンサルタント資格も保有し、「パラレルキャリア研究家」としても活動。 モノから人間関係、キャリア(人生)まで整えることをコンセプトに活動中
商業出版は4冊 。『片付けパパの最強メソッド ドラッカーから読み解く片付けの本質(インプレス)』『仕事の「整理ができる人」と「できない人」の習慣(明日香出版)』他、監修『副業の超基本(朝日新聞出版)』『家事ずかん750(朝日新聞出版)』、メディア取材なども多数
静岡県立掛川西高等学校/国立大学法人東京農工大学工学部卒業
『仕事の「整理ができる人」と「できない人」の習慣』(明日香出版)