『日本の文化やものづくりに魅力を感じる』と話すのは、MCM FASHION GROUP JAPAN株式会社でJAPAN&KOREA兼任社長を務めるキム・ヘリさん。
人と人との距離を近づけてくれる身近な習慣から、日本文化の魅力を世界に伝えたいというキムさんに、日本で見つけた「幸せな習慣」と、ファッションを通じて文化をつなぐ仕事について伺いました。
50周年を迎えたドイツ・ミュンヘン発のブランド「MCM」
――MCMというブランドについて教えてください。
MCMは1976年にドイツ・ミュンヘンで誕生し、2026年に50周年を迎えました。「MCM」とは「モダン・クリエーション・ミュンヘン」の略で、ロゴには「勝利、勇気、名誉」を象徴する月桂樹があしらわれています。
私たちは単にバッグやファッションアイテムを販売するだけではなく、MCMを通じて「幸せ」や「ユニークさ」もお届けしていると自負しています。
日本で見つけた「幸せな習慣」
――キムさんご自身について教えてください。
私は韓国出身で、アメリカ、イギリスを含めいろいろな国で仕事をした後、日本に来ました。日本での生活は、2026年で8年目になります。
日本の伝統文化やファッション、サブカルチャーなどに興味がありました。
――日本で仕事をし始めて、特に印象に残った習慣があるそうですね。
「差し入れ」という文化に感動しました。
今日も、私の大好きな「たこ焼き」を差し入れに持ってきたんです。
韓国で誰かに何かを贈るときには、ある程度値段の張るものを選ぶことが多いのですが、日本では地域の特産物やちょっとしたお菓子などを気軽に「差し入れ」しますよね。
その文化が、とても素敵だと思ったんです。
それ以来、私自身も何かあるたびに差し入れするようになりました。
――品物そのものだけではなく、コミュニケーションにもなりますよね。
そうなんです。お土産や差し入れがあることで、『これ、どこのものですか?』などと、
自然に会話が始まります。
高価な贈り物ではなくても、ちょっとしたものを通して気持ちを伝えたり、人との距離を縮めたりできる。それが「差し入れ」の素敵なところだと思います。
「これ、あの人に食べてもらいたいな」「あの人が好きそう!」と、相手の顔を思い浮かべながら選ぶ時間も楽しいですよね。日本で暮らすようになって、そんなふうに人と人をつないでくれる文化に魅力を感じるようになりました。
ブランドとコラボすることで日本のキャラクターを世界へ発信
――ハローキティとのコラボ商品が新たに発表されましたね。
MCMにはさまざまなアイテムがありますが、日本で生まれたキャラクター、「ハローキティ」とのコラボ商品も展開しています。
初めてハローキティとのコラボ商品が発表されたのは、2024年のこと。このときに大きな反響をいただき、2026年に新しいコレクションを発表する運びとなりました。
ハローキティは1974年に日本で誕生したキャラクターではありますが、1つの文化だと思っております。
子供の時から知っていて、今や日本だけではなく、世界各国で愛されていますよね。あのころの自分を思い出したり、ノスタルジーを感じてご購入されるお客様が多くいらっしゃいます。
MCMを愛用してくださっている方はもちろん、ハローキティファンの方にもこのアイテムを手に取っていただき、そこから新しい出会いが生まれたらうれしいです。
■「MCM × HELLO KITTY」カプセルコレクション第2弾
表面的な「コラボ」で終わらせない
――コラボする企業はどのように選んでいますか?
大切にしているのは、表面的な部分だけでコラボレーションするのではなく、お互いのブランドが持っている理念や価値をきちんと理解することです。
海外から日本を見ていると、日本の文化が世界でどれほど愛されているのか、その影響力の大きさに驚かされることがあります。
それぞれが大切にしてきたものを尊重したうえで、一緒にものづくりをする。そして、日本の文化や価値をまとった商品を、MCMというグローバルなブランドを通じて世界へ紹介したいと考えています。
日本には、世界に知られていない素晴らしい文化がまだまだたくさんあります。私自身、日本の文化に惹かれるからこそ、仕事を通じてその魅力をもっと世界へ広めていきたいと思っています。
――「商品を売る」というより、文化と文化をつなぐような感覚でしょうか。
店舗で商品を販売するだけではなく、音楽やスポーツ、アートなど、さまざまな分野とのコラボレーションにも取り組んでいます。店舗で展示会を行うこともあります。
過去には、印傳屋や着物の斉藤上太郎さん、そして「BE@BRICK」などともコラボし
世界に向けて、ビジョンを発信してきました。
これからも、ファッションで完結するのではなく、アーティストやクリエイターとともに、新たな価値を創造していきたいと思います。
取材を終えて
日本で出会った文化を「素敵だと思った」で終わらせず、自分自身の習慣にしてしまうところに、キムさんの人柄が表れているように感じました。
日本文化への好奇心を、自分の暮らしや人とのコミュニケーションにつなげ、さらには仕事を通じて国を越えた新しい価値へと発展させたりしているキムさん。
「差し入れ」という日常の小さな習慣から、世界を舞台にしたファッションの仕事まで。一見まったく違うように見えますが、その根底には「人と人とのつながり」があるように感じました。
私たちも、自分の好きなものを誰かと分かち合ってみれば、いつもの毎日が「ちょっと幸せ」になるかもしれません。
番組「ウェルチル 私と誰かに、ちょっといいこと」
関西テレビ放送
毎週金曜よる10時52分放送(関西ローカル)
次回もお楽しみに。